ジャレド・ダイアモンドが『銃・病原菌・鉄』において看破したのは、「人類の歴史は交流の歴史であり、東西の移動は南北の移動より楽だったから横長のユーラシア大陸がもっとも栄えた」という単純な事実だった。そう、人の行き来が盛んな場所は栄えるのだ。
交通および情報のインフラが強化された現在、世界は狭くなった。その結果、私は日本で品切れになり楽天でプレミア価格がついている人気のバックパックをアメリカの通販サイトから定価で入手できるし、中国人はカタコトの日本語で私にWebサイト制作の見積もり依頼メールを送って来たりする。Fedexが私の手元に送ってよこし、「払わないとどうなるのだろう」という素朴な好奇心からいまもまだそのままにしているアメリカ国税局発行の支払い調書こそ、人類の交流がどれほど進んだかについての証左と言えるだろう。
だが、交流は人々に脅威をもたらしもする。南米の原住民がスペインの軍隊によって壊滅的な被害を被ったのは、彼我の戦力差よりも病毒(要するに風邪)の影響が大きかった。それはまさに『ハーメルンの笛吹き』だ。外部から訪れた客人は、美しい音色を奏でながら私達の子供を、未来を奪っていく。まるで、黒死病そのもののように。
現在でも私達はそうした病毒の脅威にさらされている。デング熱? 違う。エボラ出血熱? 何を言っているんだ。そうじゃない。私が言っている病毒とは、バイラルメディアのことだ。
病毒の目的はただ増えることにある
Viral Mediaとは、文字通りVirusのように広がっていくメディアのことである。こうして破滅派というWebサイトを見ているあなたならば、一度は見たことがあるだろう。もう何度も見たことのある猫の動画がtwitterでRTされているところを。2ちゃんねるの「画像で吹いたら寝ろ」スレで何度も使い古されたGIF画像がFacebookで5,000いいねを獲得しているところを。
なぜこんなクソのような事態がおきるのか? それは、バイラルメディアの収益源が広告収入だからだ。
インターネットにおいて、広告の絶対的正義は露出機会の多さ(面積×時間×回数)であり、Googleの天才性は広告表現の本質を単純化したことにこそある。
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