ある日、ホテルは閉まる。閉まったホテルから、人は、それぞれの場所へ、退室していく。それぞれの場所、というのは、家のことではないかもしれない。家でも職場でもない、もうひとつの、誰にも見られない、二…
四〇七号室には、誰のものでもないノートがあった。ノートは、書かれた日からずっと、誰かに読まれる日を、しずかに待っていた。千尋がそれを開いた夜、待っていたのは、ノートのほうではなかったのかもしれな…
ハンカチをわざと忘れていく男がいる。左耳のピアスばかり落としていく女がいる。兄のシャツを置いて帰ると決めた男がいる。何ひとつ置いていかないと決めた少女がいる。彼らに名前がつきはじめたとき、千尋は…
看板の「パ」だけが消え、夜になると「ライソ」とだけ光るホテル・パライソ。そこに通う人々は、必ずしも恋人同士ではなかった。昼間に一人で来て眠る男、老母を連れてくる中年女、部屋でケーキだけ食べて帰る…
届出の不備は赤で囲むことになっている──では、届け出られない感情は、何色で囲めばいいのか。
誰の中にでもある憂鬱や疑問。あるフーゾク嬢に出会い ぼくは『いのち』を考える。
一人暮らしを決心して、安いという理由だけで訳あり物件を引っ越し先に選んだわけだが、それがとんでもない訳ありで……。 悪魔と妖怪が住むアパートのほのぼのドタバタ劇。
ナツキ第9話 過去編
骨が軋み尿意を催す。僕とあなたの間にずっと流れ続ける。冷蔵庫のハイネケンは冷えてる。誰のものかは忘れた。今僕しかそれを飲む人はいない。
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