ひきこもりはついに外へ出た。 ゆるゆると並走する隅田川と荒川がきゅっと寄り添ったようなところが彼の居室だった。足立区の荒廃と乗換駅の喧騒が猥雑に入り混じった下町の端も端で、彼は長い間ひくひくしていた。 北千住は南北へ走る […]
ひきこもりはついに家を出て、駅前の安い居酒屋で緑茶ハイを煽り始めた。
病魔に冒されたひきこもりは、ふらふらと荒川の河川敷に出る。
河川敷で一夜を明かしたひきこもりは、金もなく、ホームレスにすがる。
荒川河川敷でホームレスをはじめてひきこもりは、自分が小説家だと嘯きながら彼らを懐柔しようとする。
ひきこもりが河川敷で暮らし始めてから三週間。徐々になじんでいたところ、新たに若きタイ人の存在が浮かび上がる。
荒川河川敷でホームレス生活をはじめたひきこもりの元へ、ついにジャーナリストが訪れる。
元ジャーナリストのクリボーはなぜかひきこもりに懐く。しかし、出会いがあれば別れがあり、ついにあのタイ人は……
ひきこもりはそれまで一度も働いたことがなかったが、ついに仕事につこうとリヤカーをひきはじめる。
やがて、ひきこもりは書こうと思う。ついに、あのひきこもりが。北千住の河川敷で繰り広げられた社交劇、ついにフィナーレ。
4.5
(1件の評価)
メディカルソリューション株式会社 from medical-solutions.jp北千住は足立区にある下町で私の故郷です。
中島らもさんの【今夜、すべてのバーで】に通じるような、ニヒルで、北千住を舞台にしているだけあって泥臭く切なさが込み上げてくるような内容でした。
所謂こうした、モデルなる人物のジョンレノン的な「旧世代的な夢想家」の呟きを踏まえて読むと冷静に判断・中篇に纏めきった筆者の、モチーフを動かし読ませる技量が判り、その点『北千住ソシアルクラブ』は傑作だと思われる。(最近、緑雨に嵌まっていて、その気モード中)
— 山谷感人 (@sankant) July 27, 2015
¥ 247
AmazonのKindleストアで購入できます。
※ Kindle以外にもスマートフォンやPCの無料アプリで読めます。
Kindle for PC
| Kindle
for iOS
| Kindle for
Android
面白かったり、気になったらSNSでシェアしてください。
シェアしていただくと作者がやる気を出します。