春日部にあるオリンピックの通りを右に曲がった住宅街の中に私ん家があります。近所には野良猫13匹飼っている名物オジサンとか、うちの中学のOBで去年甲子園にいったらしい先輩の家が近くにあったりします…
・6・クアトロ★ミックス★ピッツァ 南川は深い海に吸い込まれる様な夢に落ちていった。ミっちゃんは何も言わずに帰ってしまったんだよな。それから先はどうしても思い出せない…
多重解釈と傾向性に囚われることなく、文学の道を行くべきだと考える一方、読者は傾向性、感性によって読む方向に向かっているのではないだろうか。あなたの解釈、是非を問いたい。
佐々木晴男の一日は、数字と対峙することから始まる。 その数字は、新聞の経済欄や株式市場とは何も関係がない。その数字は、今月の交通死亡事故件数にも、ここ数年の少子化率推移にも影響されないし、遠い国…
日本古来より美しいとされてきた花鳥風月を私なりに描いてみた。 随筆と小説を組み合わせの作品です。
佐々木晴男は今、朝の六畳間で六年前の[おこづかい帳]を感慨深げに眺めている。八冊の大学ノートは同じ大きな茶封筒に入れられているため、いつでも取り出す事ができるのだった。 佐々木晴男にとって、その…
・7・奔走 ワインの紅色とトロっとした液体がグラスの中で揺れる。そのまま人の体に流れていてもおかしくない。ドロドロだろうがトロトロだろうが、血液の質の問題ではなくその人の持っている生命力が人を生…
牧夫が歪んだ口元に、硬い微笑みを浮かべ立っている。 「五千円」 「ああ」 佐々木晴男は差し出された紙幣を受け取った。自分が債権者であることは常に頭の片隅にあったが、いつ返済されるかわからない金…
衰退する音楽業界の中でAKB48だけがひときわ高いセールスを誇っている。これはなにがしかの事実を指し示していないだろうか。純文学という「売れないジャンル」をAKBと対比させることで、私達の電子的…
・8・命がトクトクと ミっちゃんは会場を後にし、そこから歩いて十分程離れた別館を目指して走っていく。 走っている足はとっても痛い。ヒールなんて本当は嫌いだ。体は男だから、私の足はとっ…
暴力的な音で目が覚めた。部屋のドアが再び叩かれているようだった。 なぜだか知らないが、また誰かが扉を開けろと言っているのだ。佐々木晴男は眼鏡をかけたまま寝入っていたので、首を横に曲げるだけで…
雨。様々な情景を見せる雨。雨に名前がこれほどまでにある日本の精神の豊かさを省みたい。
・9・諦めに似た微笑み 舞台の上では素人ソムリエ大会決勝の準備が進められている。数人の会場スタッフが舞台の上でグラスを運んだり、テーブルクロスを交換したりしている。使われたクロスはワインのシミが…
かたんと揺れると、しらすは音楽をとめた。 でもそれは一瞬のことで、すぐにまた音楽は流れ始めた。 かたんと揺れると、しらすは音楽をとめた。 音楽はすぐにまた流れ始めた。揺れる度にしらすは息苦しそう…
部屋のドアを開けると、冷蔵庫がなくなったせいか少し広く感じる。 冷蔵庫の置かれていた畳は、他の場所より青い。しかし受け皿から滴った水のせいで、一部が黒ずんでいた。佐々木晴男は冷蔵庫を拭いた雑巾で…
どこまでその夢と現実の差を受け止められるのだろうか
「言っとくけど、復讐とかじゃないから」 理香は思い出したように付け加えた。それから、佐々木晴男の目をまっすぐ見る。再び視線から逃げようとした佐々木晴男であったが、理香の瞳を見るのは初めてのような…
ゾウガメの想うところのお話です