まず、本書では「ゲーム内のクエストとして登場する連続殺人事件」と「そのゲームを参照した見立て殺人」の2種類の殺人が交互に描かれる。したがって、ひきこもりの元警官である瀧川が挑む事件が見立て殺人の犯人を見つけるヒントになっていなければならない。課題提出部分までに「すべての手がかりが提示されている」とあるので、いくらなんでもこの密室トリックが現実世界での見立て殺人とリンクしている必要があるだろう。ただし、トリックの魔法は現実で再現不可能なはずなので、以下の3点でなんらかの関わりを持っているはずである。
- 犯人
- 動機
- 犠牲者の繋がり
ドラゴンズ・グレイブ内での殺人
ドラゴンズ・グレイブでは全部で何件の殺人事件が行われたのかについての明言はない。以下、3件の殺人が行われている。
- 旅の坊主ヴァリス(炎塵魔法)
- 執事ダレス(疾光魔法)
- 館主ランキン(召喚魔法)
まず、ゲームのキャラクターでエリック=南条、エミリア=真萩と対応しているので、この2名は除外する。犠牲者の共通点としては、ヴァリスはともかく、ダレスとランキンは昔やんちゃしていたと思われる。よって、犯人の動機はなんらかの過去の因縁があるヴァリスともども、この3名を葬ることが目的だった。
ランキンの密室殺人は召喚魔法のゴーレム(つちくれ)で抜け穴を塞ぎ、密室を作り出した。犯人は館にいるフローレンスとリゴールのうち、リゴールである。
見立て殺人
見立て殺人は自死したアイドル「ほのか」のファン3名ではなく、速水の弟である。瀧川をはめた速水姉によると、弟はひきこもりとなっており、本書の世界観では引きこもりが熱中するのはドラゴンズ・グレイブなのである。動機は「ほのかのファンだから」ではなく、「正義のため」である。これは冒頭にある唯一の犯人視点の描写からも明らかである。
なお、瀧川はこのトリックにドラゴンズ・グレイブのオンライン通信機能で気づく。同作はオンライン通信をしてもよいが、瀧川は使っていなかったのだ。
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