多言語作家モロゾフはその多産ゆえに多くの公募作品が残されて いる。作風も幅広く、あらゆるジャンル小説に対応している。本 稿もそうした応募作品の一つであり、モロゾフの才能の幅広さを 立証…
私の「私」を葬らねばならぬとのおもいであった。
それつきりである。まずい作品であつたのだ。
「しーっ。『体温計はどこにさすのお嬢ちゃん』に叱られるぞ」
オカケニナッタデンワバンゴウハゲンザイツカワレテオリマセン
お母さんと話したあと、彼が石だったことに気付いた。しばらく呆けていて、コーヒーも飲めなくなって、ずっと屈んで腰が痛い。大腿骨が一番太かった。
トレッドミルでウォーキングして、YouTube見てる。同じことがたくさん検索にヒットしてそれを見ながら歩く。食べ物、B級グルメ、世界の風景、一度はみたい景色。同じこと。俺の見ている景色も、どっか…
絶対に思い出す事の出来ない記憶であった。
それは場末のサアカス団を観終えた後 揺れなくなった空中ブランコの下で からっぽのライオンは眠ってゐる 散り散りの紙吹雪こてんぱんの檻 出刃包丁の柄は煌々とぬめってゐる…
家族という小社会がすべてだったあの頃への追悼の辞
冬が来て、春がきた。 ――お鶴さんとおっ亀さんと、お手引き合せて観音へ参る 騒がしい春になっても、やえは僕の布団にもぐりこむことをやめず、次第におかみさんもそれを咎めることをやめてしまった。僕も…
第10話
(第3話) 「内田、かぁ」 依本のちょっと大きめの呟きに、店のオヤジが怪訝そうに顔を向けた。 「いやゴメン、昨日来た編集者のこと。なんか変わった男だったからさ」 「じ…
これは文學界新人賞に出したもの。ちゃんと一次で落ちた。
木崎香織。彼女は自ら道を開いてその道を進む、とても自立した人間だった。
予定調和は乱されると気持ちが悪いけれども、いい意味で変わるときは、それはとても新鮮なものだ。
左から陽キャ陽キャ陽キャ、一人飛ばして、いんのもの。 飛ばされたのが俺とか君で。 陽光とか朝光にわれわれはなれないんだけど、君もそのはず。だけど、その鼻歌はなに? ●●●たつわ。今朝抜いた…
それは、偶然を装った形で、あなたにその存在を気づかせます。