破滅派では現在、様々な人が参加すると同時に、盛んに破滅派と言う枠を超えて活動する同人も多い。今回は2020年後半期の活躍について、はめにゅーの記事などからまとめて紹介したい。コロナウイルスや自粛。萎縮が収まらない中で、破滅派同人はどのような活動を行ってきたのだろうか?
7月
・「セルパブ!夏の100冊2020」がリリース 破滅派同人作品も紹介
毎年のセルパブ風物詩が今年もリリースされた。この本で新しい世界に飛び込む方も多いだろう。
・高橋文樹の小説「光ってみえる白」が米文芸誌「Green Hills Literary Lantern」に掲載
今年の後半も、カメイトシヤ氏の翻訳協力のもと、破滅派の海外進出は止まらない。トルーマン州立大学の文芸誌『Green Hills Literary Lantern』に高橋文樹の作品が掲載された。
・阿佐ヶ谷ロフトAで髙井ホアンが「80年代奇天烈MV倶楽部」を開催
こんなイベントをも開催するに至った。人間何がどうなるかよく分からないが、盛況で楽しいイベントとなった。
・変革のための総合誌『情況』2020年夏号に髙井ホアンの記事が掲載
変革のための総合誌『情況』では、髙井ホアン(Juan.B)が連載を続けている。自著『戦前不敬発言大全』『戦前反戦発言大全』に関連し、戦前の庶民の言動に着目した連載となっている。是非お買上の上ご覧頂きたい。
・Insignia Stories『Insignia 2020』に髙井ホアン、斧田小夜の作品が掲載
アジアを対象にした短編集に、Juan,Bと斧田小夜が参加した。
8月
・髙井ホアンが相次いでイベントに出演
コロナ禍?イベントにそんなものは関係ない。8月15日という象徴的な日に髙井ホアンの著書に関するイベントが開催された。コロナ、自粛、規制を全て跳ね除けての配信である。その次は、連載している情況のイベントにも参加した。様々な「先輩」に揉まれる彼の運命や如何に。
・「SF×美学––––SF作家は分析美学者の問いにどう答えるのか?」に高橋文樹が出演
SF配信イベントに高橋文樹も出演した。分析美学者の問いに高橋文樹はどう答えたのだろうか。
9月
・続く髙井ホアンの躍進
9月は特にJuan.Bのイベントや作品掲載が相次いだ月となった。特に阿佐ヶ谷ロフトAでは8月と合わせ頻繁に出演したことになる。コロナ下にあることも考えれば、そう達成できることでは無いだろう。
10月
季刊の『状況』は、1、4、7、10月に発売される。是非読んで頂きたい。
・斧田小夜と高橋文樹の作品が海外で公開
高橋文樹の作品がGargoyle Magazine 2020に掲載され、斧田小夜の作品がAntipodeanSF Radio Showで朗読された。これら破滅派の作品の海外進出には、翻訳家のカメイトシヤ氏が多大に貢献している。後にカメイトシヤ氏は小説すばるに記事を掲載することとなる。
11月
一体今年は何回イベントに出たのだろうか。
・佐川恭一がイグBFCで優勝
凄まじい内容の作品が集ったイグBFCの中でも、佐川恭一は存在感を示した。
・大猫とJuan.Bのインタビュー記事が掲載
2018年度合評会グランプリの大猫、2019年度合評会グランプリのJuan.Bが、諏訪靖彦氏の取材でインタビューに答えた。二人の創作の背景や、一ユーザーとしての破滅派との関わり方など、面白く読める記事となっている。是非お読み頂きたい。
・文学フリマ東京に破滅派も出展 オルタニアブースが協力
第三十一回文学フリマ東京に、波野發作の協力でオルタニアブースの一角を借りて破滅派も出展した。今回、破滅派はアンソロジー『失われたアレを求めて』を頒布した。以下で購入もできる。破滅派同人渾身の作品が集まっているので、是非お読み頂きたい。
・Gargoyle Magazineに牧野楠葉の作品が掲載
Gargoyle Magazine 73号に牧野楠葉の作品が掲載されていることがたった今分かった。高橋文樹に続いての快挙である。牧野は現在、ゲンロンSF創作講座に参加し、SF小説に取り組んでいる。
12月
・佐川恭一が第1回RANGAI文庫賞を受賞
12月はめでたいニュースが相次いだ。1日には早速、佐川恭一が第1回RANGAI文庫賞を受賞したのである。イグBFCに続いての快挙である。佐川恭一の作品を、選評者はどんな目で見つめたのだろうか。
・髙井ホアンがかに三匹氏とイベントを共催
髙井ホアンが初めての共催イベントを開催した。これまでゲスト出演などはあったが、企画段階からの共催はこれが始めて出会った。かに三匹氏と非常に特殊な映像や音楽を紹介しあい、楽しいイベントとなった。なお、来年の1月19日には第二回が予定されている。
・カメイトシヤ氏が小説すばる1月号にエッセーを掲載
破滅派同人の作品を数多く翻訳しているカメイトシヤ氏のエッセーが、小説すばるに掲載された。翻訳家としての来歴や、破滅派・高橋文樹との関りなど、是非読んでおきたい内容が満載である。また、年明けの2月号には、高橋文樹と佐川恭一の作品も掲載される予定である。
・高橋文樹がDommuneに出演
Dead Channel JPの初イベント「多層都市『幕張市』」ですが、イベントの特別番組が12/30 19:00からDommuneで放映されます。僕も出演しますので、チェックお願いします。https://t.co/o6mgfweA3t
— 高橋文樹 / Fumiki Takahashi (@takahashifumiki) December 28, 2020
高橋文樹がドミューンの配信イベントに出演した。来年への布石となるだろう。
・新企画「名探偵破滅派」始動
https://hametuha.com/announcement/detective-hametuha/
ミステリー作品を数多く投稿している諏訪靖彦が主導し、新企画「名探偵破滅派」が始動した。我こそはと思う者は是非参加してみてはどうだろうか。
いかがだっただろうか。イベントに文学賞にと、コロナ禍の下でも破滅派同人は元気に活動していたことを、改めて振り返ってみると、「破滅」という言葉の幅広さを感じさせられる。来年にも、髙井ホアンのイベントや、『NOVA』への斧田小夜の作品掲載など、破滅派の活躍が待ち受けている。来年コロナがどうなるか分からないが、この様な時こそ文芸の持つ力を発揮できるだろう。破滅派とその同人の今後の活躍に期待である。
そして、破滅派はいつでも同人の参加を待っている。偶然の出会い、知人による紹介、(Juan.Bの様に)規制と放浪の末の漂着など、様々な人々が様々な形で参加でき、そして積極的な意義を担えるのが破滅派である。後ろ向きのまま前に進め!
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