朝のきたい

高橋文樹

469文字

ぼくは週の半分、ソファで眠っている。

三人の子供たちが寝静まった頃に帰宅をし

ぼくは妻と少し話をする

もうすぐ期限が切れる火災保険のプランや

きょうのできごと

 

ほどなくして妻も眠る

ぼくは遅い夕食を済ませ ビールを飲む

膝にラップトップを置いて

 

ほんらいの予定が指の間をすり抜けていく

三時にもなると目の前には

垂直になった座面と

犬の足がある

 

こんなはずじゃなかった

もっといろんなことができたはずだ

そんなことを思いながら

ぼくは眠りにつく

 

期待に満ちた足音がどたどたとなる

ぱぱ ビール飲んでたでしょ

ぱぱ おかし食べてたでしょ

だめだなあ かぜひいちゃうでしょ

 

その後ろから もっと小さな期待が

寝室からはいはいをしてきて

得意げに喃語を話す

ぼくはすごいねと答える

早起きで偉いね

 

期待に満ちた朝に居合わせても

ぼくはなお もう三十分だけ

そう言い残して寝室に向かう

 

寝室には娘がまだ寝ている

ぼくは縦横に布団を遮る彼女の

隙間をぬうように

卍や上のように眠りにつく

2017年9月26日公開

© 2017 高橋文樹

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

散文詩

"朝のきたい"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る