てぶくろのきらいなひと

高橋文樹

484文字

世の中には手袋を嫌う人がいて、ぼくはとても不思議だ。

あの温かいてぶくろをきらいな人がいる

高校生のとき同級生だったYは

自転車に乗ったあとに水で手を洗うと切れるように痛いと

冬の日に言った

それならばてぶくろをすればいいのに

Yはいやだと言った ばかなのだ

Yはそのあと音楽とマリファナにはまって行方知れずになった

てぶくろをしないこととなにか関係があるのだ

 

ぼくの子どもたちはてぶくろをしない

うっとうしいからだ

たしかにぼくもうっとうしかった

それでもいつか人はてぶくろをするようになるべきなのだ

 

 

登山家の山野井さんは

寒い冬の山でてぶくろをなくして

指を失った

てぶくろがないということはそういうことなのだ

 

ぼくの妻もてぶくろをしない

面倒だからだと言う

もういい年なのだから てぶくろはするべきなのだ

こんな寒い冬の日には

 

子どもたちを預けてでかけた夜

妻が手を握ってくる

その手は汗ばんでいる

たしかに いま てぶくろは必要ないのかもしれない

でもてぶくろは守ってくれるのだ

冬の山で指を失うことや

音楽やマリファナで身を持ち崩すことから

2016年2月8日公開

© 2016 高橋文樹

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