openBDは版元ドットコムとカーリル(図書館在庫横断検索サービス)の共同プロジェクトとして2017年に発足した。誰でも書影を含めた書誌データを利用できるAPIとして、ほとんど唯一のAPIだったが、2023年6月頃より配信データに不備が生じはじめ、同年7月25日をもってサービスの提供終了を発表した。

発端は書誌データを管理するJPRO(出版情報登録センター)とのデータ利用範囲についての合意にいたらなかったため。JPROはAPIを提供しているらしいのだが、有償であり、利用開始には問い合わせが必要など、使いやすいとは言えないものだった。openBDはある意味でそれを補完するものだったが、JPROはそのせいでインフラ維持のための料金徴収ができないことを理由にデータの提供終了を希望した。

openBDが提唱する「書誌情報・書影を自由に」というコンセプトがJPROの現在の利用規約に抵触している懸念や、無償で大規模なサービス提供がインフラ維持のための使用料徴収を阻害しているとの懸念について、認証制度の導入や書影配信の一部制限などの対応策も含めて、JPROとの協議を継続してまいりました。

「openBD API(バージョン1)」の提供終了について

ちょうどtwitterもイーロン・マスクが買収してからAPI利用(アプリからtwitterのデータを利用すること)が超高額に変更されたが、JPROはもしかしたらそのムーブを参考にしたのだろうか。

ともあれ、無償で手軽かつ実用的な速度で利用できる書誌データベースの最有力なものがなくなってしまうことはたしかである。最低でも60ヶ月はopenBD APIの提供を続けるとのことなので、破滅派のようにそのデータを利用している版元にとっては一安心ではあるのだが、なんとも世知辛い世の中である。