作家の森村誠一が肺炎のため、都内の病院で死去した。90歳だった。

森村誠一は1933年、埼玉県で生まれた。大学を卒業した後にホテルに勤めるようになったが、その時ホテルに泊まっていた梶山季之ら作家たちと交流し、小説家を志すようになる。

1969年に、ホテルでの経験を生かしたミステリー小説「高層の死角」が江戸川乱歩賞を受賞し、人気作家となった。その後、原子力利権の構造を描いた「腐蝕の構造」で日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリー作家としての地位を固めた。「人間の証明」や「野性の証明」は映画化もされ大ヒット作品となっている。

1980年代に「赤旗」に連載したノンフィクション作品「悪魔の飽食」シリーズでは、細菌兵器の開発にあたった旧日本軍「731部隊」の蛮行を描き、大きな話題となった。