丸善雄松堂株式会社が8月23日、国立情報学研究所(NII)に、同社が保有する電子書籍に係る書誌データ約12万件を提供することについて、2023年7月に合意したことを発表した。

 発表によると、同社の電子図書館サービスである「Maruzen eBook Library」で提供されている電子書籍の書誌データについて、NIIが構築を進める国内電子ブックメタデータのディスカバリーサービスのプロトタイプのために提供するという。

 背景には、コロナ禍において非接触・非来館型図書サービスのニーズが顕在化し、コロナ後も国内外の研究・教育の場で電子図書館サービスの定着が見らたことがある。また、漫画などを中心に電子書籍が一般的に普及したことや、昨今の〝読書のバリアフリー〟化の流れも関係しているだろう。

 今後は、「本件協力に限らない幅広い協議を行うことで、電子書籍の流通の安定化と活性化を進め、業界の発展を促し、学術情報基盤の発展と安定に貢献したい」としている。

 文藝に続き、文學界が今月発売の『文學界2023年9月号』の電子書籍販売を開始したばかり。これからもこの流れは加速していくだろう。業界がどのように変革するのかにも注目したい。