今月は新潮、文學界、群像、すばるの4誌が発売された。4誌の概観をここで紹介しよう。

新潮 2024年3月号

・【特集】「安部公房生誕百年ーー特別に特別な作品宇宙」として、今年生誕100年を迎える安部公房の魅力にいま一度迫る。「私と安部公房」と題し、円城塔、小山田浩子、島田雅彦、平野啓一郎、福永信、星野智幸が寄稿。さらに、選・解説・近藤一弥「現代写真家の特異点、安部公房」(一部未発表作品)が掲載。

・黒川創による「この星のソウル」が掲載。列強帝国主義に国が引き裂かれる中、高宗らラストエンペラーはいかに強かに抵抗したか。京城=ソウルの歴史の激動を未来へ届ける。

・創作では、佐伯一麦「遠野郷」(連作完結)、円城塔「宣長の仮想都市」、黒田夏子「さいころのうちそと」、藤野可織「スイスへ(2).docx」(連作完結)が掲載。

文學界 2024年3月号

・【特集】「身体がいちばんわからない」として、小川公代の評論「〝規範的身体〟を揺るがす文学 」、町田樹インタビュー「言語表現がアスリートの背骨になる」(聞き手・構成=辻本力)、ワクサカソウヘイによるロングエッセイ「時に笑いはセイウチに似たる」、中村佑子ロングエッセイ「身体を物語ること」、鳥澤光のブックガイド「書く身体を読む身体」を掲載。

 さらに、「今のあなたの〝身体の状態〟を教えてください」をテーマに鷲田清一「ひきずり、もてあまして」、穂村弘「あと何度なおる病にかかれるだろう」、山下澄人「紐のこと、ラボのこと」、安堂ホセ「じぶんの身体が透明であると感じるとき」、川野芽生「あるいは幻肢痛」、くどうれいん「えんぴつの刺青」、年森瑛「現状報告」、岩川ありさ「解離して瀕死」、中原昌也「偉大な作家生活には病院生活が必要だ」とエッセイを一挙。

・【創作】では、川上弘美「泣く男」、島田雅彦「大転生時代」(短期集中連載第2回)、又吉直樹「生きとるわ」(短期集中連載第3回)が掲載。

・津野青嵐の新連載「『ファット』な身体」と、江南亜美子による新連載「『わたし』はひとつのポータル」がスタート。

・【特別エッセイ】生成AIの使用で話題となった芥川受賞作『東京都同情塔』の著者・九段理江による受賞後初エッセイ「九段理江」。また、水上文による作品論「多様性の時代、あるいは大独り言時代の到来――「東京都同情塔」論」も併せて。

群像 2024年3月号

・創作は、長野まゆみ「ルカとチカ」。松永K三蔵による中篇「バリ山行」。柴崎友香の連作「帰れない探偵」。

・【小特集・蓮實重彦】として、蓮實のインタビュー「ミシェル・フーコー『The Japan Lectures』をめぐるインタビュー」、批評「散文は生まれたばかりのものである――『ボヴァリー夫人』のテクストに挿入された「余白」についての考察」を掲載。

・鹿島茂による新連載「第ゼロ次世界大戦」、武田砂鉄の新連載「誰もわかってくれない――なぜ書くのか」、宮内悠介の新連載「デビュー前の日記たち」がそれぞれスタート。

すばる 2024年3月号

・【小説】では、井戸川射子「印象」、小池水音「あのころの僕は」が掲載。

・【特集:ドストエフスキー『悪霊』の150年】として、昨年8月に名古屋外国語大学で行われた「第18回 国際ドストエフスキー学会 ー『悪霊』の150年ー 特別記念講演会」での模様を届ける。講演/中村文則「衝撃と宿題」、講演/綿矢りさ「笑ってはいけないドスト」、講演/平野啓一郎「〈影響〉の構造化と愛」、質疑応答/亀山郁夫×中村文則×綿矢りさ×平野啓一郎「講演を終えて」を一挙。

 さらに、亀山郁夫のエッセイ「狂熱の、「美しい」五日間――第18回国際ドストエフスキー学会名古屋大会の軌跡」も。

・斎藤真理子×温又柔による対談「韓国文学と日本語文学のあいだで――「さえずり」に耳をすませる」が掲載。

以上、2024年2月発売の4誌について、概観を紹介した。読書の一助になれば幸いである。