佐川恭一の新作「ジモン」は梶井基次郎「檸檬」を題材にしているそうだが、想起されるのはダチョウ倶楽部の寺門ジモンである。佐川の作風からすると、「風変わりな友人」のポジションとしてジモンが登場するのだろうか?

さて、佐川に対してなんの連絡も取らず憶測だけで書くのだが、これまで佐川が小説すばるに発表した短編は次の通り。

  1. 花火大会撲滅作戦
  2. スターライトパレスパート2にて

前者は青春ものだったが、後者は明らかに志賀直哉「城崎にて」を下敷きにしている。佐川はヒリつくほど下世話な作風とは裏腹に豊富な文学的知識を持ち、著名な文学作品のパスティーシュとしてこれまでも「童Q正伝」「なにわ最狂伝説ねずみちゃん」などの作品を物している。こうした一連の「著名文学作品パロディ」、そして小説すばるでの発表ペースを鑑みると、佐川の「著名文学作品ストック」が一冊の単行本にまとまるほどの量になりつつあることは想像に難くない。佐川の単行本が出る日もそう遠くないのでは? ぜひ破滅派のエース佐川恭一の今後を楽しみにして欲しい。