※合評会2018年07月参加作品。 地球の滅亡が間近に迫ったある日、俺は友人のロッド(ロドリゲス)と、出会ったばかりの元留学生のグエンとともに、歪んだ日常の様な最後の日々を過ごしていた。市…
BTTB応募作品です。私は、カミュの戯曲における処女作『カリギュラ』を下敷きに、ほのぼのしたものを書いてみようと思いました。 論理だ、カリギュラ、どこまでも論理を追ってゆけ。権力の果…
ずっと、廃街がどうなったか気になっていた。 作中引用: 「まるで天を目指して建築され、神の怒りの雷火を被った炎の宮プライムの如き」(小林めぐみ・デビュー作『ねこたま』より) 「自分の望…
作品集『フィフティ・イージー・ピーセス』収録作。
作品集『フィフティ・イージー・ピーセス』収録作。
作品集『フィフティ・イージー・ピーセス』収録作。
作品集『フィフティ・イージー・ピーセス』収録作。2015年大阪ショートショート大賞佳作。
世界最古のSF小説「本當の話」。作者は2世紀ギリシャの風刺作家「サモサタのルキアノス」だ。彼のSF作家デビュー作をスラップスティック・スタイルでの復元を試みた。人類の空想力の真髄をご笑覧あれ。破…
――嫌悪感で満たされたこの空間の内奥に、その黄色い花は存在しているのだ……。 白のトヨタ・ノアは、陽光の降り注ぐ井の頭通りを軽快に走っていく。穏やかで、世界が光って見える幸福な午後だった。
操縦士の後ろが、あなたの席です。シートベルトをお締めください。それでは、素敵なフライトを。 長崎朝『回文集』収録の、回文ナンバー44に付された読解部分の手記です。一応、回文も載せておきます。 …
(9章の5) 一部屋ずつ運ばず、そろって食事をさせるのは手間をかけたくないからだろう。みすぼらしい安宿のやりそうなことだ。 おかずがまた貧弱だった。肉類、刺身類はなし。揚げ…
(9章の4) 調度品などない玄関で殺風景そのもの。モルタルの壁にはひびが稲妻のように走っている。靴箱は埃まみれで、手前に傾ければ砂利がざっと落ちてくることだろう。もうちょっとマシ…
(9章の3) わたしは結局独身のまま30代を通り過ぎた。あの時に思い描いた年齢をとっくにすぎているのだ。しかしそれが、どうも実感としてわかない。 現在のわたしは、もう40代…
(9章の2) バスがやってくるまでにかなり待たされた。これはわたしが、「バスがすぐに来る」と念じなかったからだ。田舎のバスは本数が少なく、長く待たされるのが当たり前なのだ。特に念…
(9章の1) わたしは、駅に行きたくなった。鄙びた温泉街の、単線の小駅。一日にたった数本だけしかやって来ないローカル線。そんな駅を味わいたかった。 乳母車を押している主婦に…
(8章の3) 田んぼの向こう、遠くに稜線がある。しかし黒い雲と繋がり、稜線との境目がなかなか判別できない。凝視して、多少薄く見えるところから雲だと、かろうじて分かる程度。雲は昼間…
(8章の2) こんなにも感覚や意識がしっかりしている世界が夢だというなら、もしかしたら、現実の世界だって夢なのではないだろうか。わたしは自分の末に、一縷の希望を持った。このあと間…
(8章の1) わたしはずっと歩いている。「汗よ乾け」と念じていないので、全身汗まみれだ。この時代のシャツは吸水力が悪く、流れ落ちる汗でパンツまでもベトベトになっている。 小…