独り言が止まらなくなった機械じかけの新入社員

フィフティ・イージー・ピーセス(第31話)

藤城孝輔

小説

2,015文字

作品集『フィフティ・イージー・ピーセス』収録作。

ピカリくんの調子が悪くなったのはこの半年間で二回目だ。今度はパソコンに向かいながら独り言を言うようになった。聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声なのでうるさくてかなわないというほどではないが、一日中ひたすらブツブツ言っているので次第にうっとうしくなってくる。隣の席の具志堅さんが注意したら「ごめんなさい。何か言ってましたか?」と彼は丁寧に謝った。でも気づけばまたすぐに独り言がはじまっていた。

私たち同僚一同からの苦情を受け、ピカリくんを作った工場に課長が電話で問い合わせた。症状を聞いた工場長は、思い当たるふしがある様子だった。

「それは故障ではなく、回路に情報負荷がかかりすぎてるんだと思います。パソコンの内部に熱がこもりすぎないように小さなファンで排気をするようなものだと思ってください。あんまりうるさいようなら、仕事量を減らすとか有給休暇を二週間ほど取らせて気分転換をさせるとかしてみれば静かになりますよ」

「二週間も休ませるなんて絶対ダメです! うちは即戦力が必要だから、おたくが出荷したロボットを使ってるんだ。まだ覚えてほしい仕事は山のようにあるのにそう気軽に休まれては困る」と課長はオフィス全体に響く声で受話器に向かってまくしたてた。

2018年5月1日公開

作品集『フィフティ・イージー・ピーセス』第31話 (全50話)

フィフティ・イージー・ピーセス

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© 2018 藤城孝輔

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