不慮の事故から目覚めた「私」は怪我の回復を待つ無為の中、過去への追想に耽る。しびれるほど優秀だった友人と再会するというアイデアに夢中になり、やがて再びMを探す旅を開始する。
Mに手紙を出した「私」のもとに彼女の母から返事が届く。「私」はその指示通り捜索を開始するが、奇妙な人物達との邂逅ばかりを繰り返し、なかなかMにたどり着くことができない。
相変わらず仕事の見つからない「私」は、無為のまま旧友のメグに会いに行く。彼女はタクシーの中で言う。「プチンってやっちゃうんだって。脳の一部をプチンと。そうすると、ネズミが人間らしくなるんだよ。怖…
無職になった「私」は恋人の家に転がり込み、同居生活を始める。すぐに職が見つかるでもなく、無為に時間を過ごしていたのだが……
美しい時代を過ぎて社会人になった「私」ははじめて勤めた会社で天才プログラマーの幹と出会う。
Mの家庭教師として過ごす「ぼく」にとって当時の記憶は圧倒的な色彩を帯びている。
やがて、ひきこもりは書こうと思う。ついに、あのひきこもりが。北千住の河川敷で繰り広げられた社交劇、ついにフィナーレ。
ひきこもりはそれまで一度も働いたことがなかったが、ついに仕事につこうとリヤカーをひきはじめる。
愛するものについて、人は常に語りそこなう。ぼくはMとの出会いについて、ゆっくりと語り始める。
編者による異言――序に代えて
元ジャーナリストのクリボーはなぜかひきこもりに懐く。しかし、出会いがあれば別れがあり、ついにあのタイ人は……
荒川河川敷でホームレス生活をはじめたひきこもりの元へ、ついにジャーナリストが訪れる。
ひきこもりが河川敷で暮らし始めてから三週間。徐々になじんでいたところ、新たに若きタイ人の存在が浮かび上がる。
寛美へ。 君がこの手紙を読んでいる頃、ぼくは姫岡さんを殺していると思う。起きてすぐにこんな手紙を読むのは嫌かもしれないけれど、大事なことが書いてあるから、とりあえず読んでくれ。 クローゼットの上…
荒川河川敷でホームレスをはじめてひきこもりは、自分が小説家だと嘯きながら彼らを懐柔しようとする。
寛美が姿を消してから失意の日々を過ごしていた「ぼく」。やがて、ぼくの元に電話がかかってくる。
河川敷で一夜を明かしたひきこもりは、金もなく、ホームレスにすがる。
プロサッカー選手を目指して塾をやめた教え子のことは、半ば失望を抱きながら眺める「ぼく」。しかし、家に帰った彼を待っていたのでは、いままでよりもずっと狂った寛美の姿だった。