計画性がない

曾根崎十三

エセー

2,759文字

ドコモメールの下書きフォルダにバって書いたやつです。ドコモメールの下書きからコピペしたので改行がバグってますが気にしないで下さい。

私は計画性がない。何かに手を着け始めた尻から他のことが気になって別のことを始め、いろんなことを同時進行し始める。夏休みの宿題の計画書も自力で作れないので母に作ってもらっていた。中高生になるとさすがに関与されなかったが、もちろん計画できず、終わらず、二学期が始まってから居残りをさせられて宿題をしていた。答えがあるものなら写せば良いのだが何せ量が多いので苦痛だった。
高校まではそのへんの公立学校に通っていたので、体育と数学を除く科目の成績が良かったが、計画を立てて何かをするということはてんでできない。今日の宿題ならできるが、長期的に計画を立てて取り組むことが、そりゃもう多分生まれたときからできない。
とりあえず自分が混乱するので、やることリストを作ってひとつずつやっていくようにしている。それでも途中で話しかけられたり、何かが気になり出したり、後輩たちに何かを聞かれて調べたりすると、血迷った判断をしてどんどん迷走し始める。いや、人のせいにするのは良くない。そもそも人のせいとは思ってないが、休みの日も迷走しているので自分の性質の問題なのだ。仕事上、正確な事務処理能力も、柔軟で機転の利く営業力も求められるがそのいずれもない。考えられないような凡ミスや、なぜ思い至らなかったのか分からないような想像力の欠如と共にある。遅い上にミスる。地獄である。当事者というより周りが地獄の思いだろう。それなのにこの仕事が十一年も続いており、カタツムリ、いや、亀の歩みで(※牛や亀だと速度で負けると思うので一旦カタツムリにしたが、「出世したい」と口では言いつつ行動の伴わない万年平社員ないしは同じ肩書きで止まっているおじさんおばさんもいるので亀にした)ステップアップしているのだから奇跡だ。同じ年代や少し下世代のデキる奴らはカモシカのように華麗にステップアップし、1つや2つくらい上の上司になっている。なんでこんな差がついちゃったんでしょう! こわいですね! 問うまでもない。
優しい上司(同い年)は「曾根崎さん、そんなにあっちこっちやらず、ひとつずつして」とか「やることをピックアップするだけでなく、いつまでにやるのか、優先順位はどうなのかまで決めておいた方が良い 」と言ってくれる。ファスト教養でも見たやつだ。これ進研ゼミでやったところだ! こういうのを読む界隈の人はきっと大抵アンチファスト教養だろうから書き辛いが、自己啓発本はファスト教養で済ましている。自己啓発本は好き好んで読みたい物ではないので、ファスト教養で十分だと思っている。必要な養分だと思うがあまり時間を割きたくない。「飲み込んだらええんやろ!」と嫌いな物を食べる子供みたいな発想である。それに中田は分かりやすい。あっちゃんね。彼は解説能力に長けている。それにめちゃくちゃ良い内容だったらそれをきっかけに元の本に手を伸ばすこともある。ええやん、別に、と思う。
そして、やることの優先順位やらスケジューリングやらを指摘される度、あるいは見る度、「なるほどな! 意識しよう!」と感激して数日は続けるのだがまた元通りになる。そして、また同じ指摘を受けて「なるほどな! 意識しよう!」とアハ体験を得る。何度でも同じことで感銘を受けられる。お得だ。
休みの日もやることが複数ある時は、やることリストで対応するが、大抵上手くいかない。途中までは大体上手く行くのだが、途中でTwitterをしたり、寝たりしてしまうからだ。なので小説の締め切りも当日とか、過ぎてから焦り出す。
なぜ皆が当たり前のようにできていることが出来てないのか、と思う。別に悲観的な意味ではない。悲観的に思っていた時期もあったが。これは性質なのだ。「人間」という同じ動物でも個体ごとの性質がある。同じことをしても反応はそれぞれ違う。動物園や水族館に行っても、同じ環境にいても皆バラバラのことをしている。生き物なので仕方ない。
最近ポケモンスリープを始めた。最近というか割とサービスが始まってすぐに始めた。なんか皆やってたので。意外とみよちゃんはなちゃんなので。ポケモンスリープでポケモンを捕まえると、同じポケモンでも性差はもちろんのこと、持っているスキルの差や、個体ごとに設定された「性格」の差で得意なことと苦手なことがあったり、得意も苦手もなく満遍なくできたりする。ゲームが現実に寄せて来やがったな、と思う。そういう性質があるからこそ、同じポケモンを捕まえても、より良い性質を持っている個体を選別して育てるプレーヤーが多い。就活とか婚活のリアルを感じる。とはいえ、なかなか甲乙付け難い個体差もあるのでそれもまた現実に寄せてんなぁと思う。
今も私は破滅派の原稿を書くために時間を作ったのだが、なぜかエッセイを書いている。これを書き始めたのは締め切りの前日だった。なぜなのかはよくわからない。やりたかったし「まぁいけるやろ」という軽い気持ちでやってしまった。これが最終的に睡眠時間を削って死ぬ気で原稿をあげ、次の日寝不足で働いてさらなる注意散漫を生み出すことに繋がるのは想像できるのだが、なぜかやってしまう。なぜかすべきことよりも、突然思いついたことを優先する。一人暮らしの時も「午前中に歯医者に行ったので、連休だし旅行にいこう!」とおそらく他に生活に必要な何かをしようとは思っていたのだが、いきなり一人で旅行に行った。道中の電車内で宿もとった。翌朝に鳥羽水族館に行こうと思っていたので、当日は予定がなく、その辺りの山に入ったら霧がおりてきたので急いで抜け出したりもした。サイレントヒルやん! と一人ではしゃぎつつ、命の危険を感じた。めっちゃ楽しかった。「え、今めっちゃ自由やん! 最高!」ってなった。成功体験としてそれが刷り込まれているので、思い付きでいろいろやっても何とかなると思っている節がある。そう、なんだかんだ言って前向きなのである。たぶん。一時期は「私なんかどうせ……」みたいなキャラでいってたが、それはかりそめの姿である。というか波がある。躁鬱的な。今はやや躁的な感じだ。精神の調子が良い! まぁ小説はちょっと精神の調子が悪い方が筆が進む。でも病気ではない。ネットの診断メーカーですらADHDでも躁鬱でもなかった。何の診断名もつかない。
高校時代は小説も読まずに精神医学の本にハマリまくって市立図書館の精神医学コーナーにはりついて遊んでいたが、個体差というのは誰にでもあるが、障害や病気という枠組みに当てはめられるのは社会生活において支障が出るほどの度合いのものを指す、と何かの本で読んだ。散々「頭の病気だ!」と言われて育ってきたものの恐らく健常者である自分としてはものすごく腑に落ちた。私の性質も生き物だから仕方ないのである。

2023年9月18日公開

© 2023 曾根崎十三

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