川蝉

大川縁

460文字

石神井公園にある三宝寺池で見たカワセミをイメージしながら書いた詩です。実際に何度か見つけ、飛び跳ねるように喜んだのは良い思い出。やはりあの鮮やかな青と橙色は奇麗で目を引きますね。

野鳥を撮ろうと集まった人だかりを抜けて、三宝寺池にかかる橋を渡っていた。

コナラの枝が騒いでいて、池に浮かぶ蓮が揺れている。

風が強く、冷たくなっていた。

 

ゴイサギが静かに羽を休めるそばを、鴨の親子がすいと泳いで、

その上を烏の鳴声が、連なり群れをなしていく。

こちらで鳴いて、そちらで鳴いた。そちらで鳴いて、あちらで鳴いた。

 

城跡のそばは烏の巣になっているのだから、

無闇に遊んでいると、連れていかれるよ。

祖母はそうして、おぶった私に

夕焼け小焼けをうたってくれた。

 

あれから池のほとりは随分変わり、

一時いなくなっていた川蝉が、また姿を見せるようになった。

その宝石のような青さに惹かれて集まった人だかりを抜けて、

かつておぶられた橋の上で、川蝉の高く澄んだ鳴声を聴いていた。

 

木々が葉を落とし始め、鳥たちが姿を消す頃、

ここも今より寂しくなって、

しばらくは眠るように静かになるのだろう。

それまで少しの間、この賑やかな暖かみに

両手の平をあてていたい。

2016年10月12日公開

© 2016 大川縁

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