東武東上線下り 和光-朝霞
タタン タタン
タタン タタン・・・
乗り物酔いすると 音や眼圧に敏感になるような気がする
いろんなものが体の中に 勝手に入ろうとするから
本当は暴れているよ
遠くの殺風景に並ぶ
ガードレールの脚の数を数えながら
車内の人間は俯くと陰になり
モニターから伝わる熱で 色を変える
まばらな気まぐれ 憂鬱な思考は後をつける
縄のかかる首 引いてくれ
嵌め殺しの居心地に
どうして足掻かずにいられるのだろう
奇妙だよ
そのご褒美 美味しい?
・・・・・・
東武東上線下り 志木-柳瀬川
タタン タタン
タタン タタン・・・
タタン タタン
タタン タタン・・・
「もしオマエに少しでも考えているなら、もっとマトモな発言ができる」
タタン タタン
「それは、やっていただかないと・・・」
タタン タタン
「普通は言わねえだろ。手を動かせよ」
タタン タタン
「足引っ張るだけ、まだマシじゃない?ちょっと知恵遅れの方が愛嬌あるよ」
タタン タタン
「例えばオマエが猿と一緒にいたら、猿はオマエを同類だと思って敵意剥き出しで襲うね。
同レベルでしか喧嘩できないんだから喜んで受けてやれよ」
タタン タタン
「これ違いますよ」
「いい加減、覚えましょう」
「どうして皆ができていることができないの?」
「どうして上手く話すことができないの?」
「どうして?」「ドウシテ?」「どう(して)?」ド ウ シ テ ?
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タタン タタン
タタン タタン・・・
東武東上線下り ふじみ台-上福岡
タタン タタン
タタン タタン・・・
好きな音に耳を傾けている
鈴虫の鳴き声に似た 懐かしい匂い
空気の中で遊ぶことは好きだ
でも
乗り物は好きになれない
運ばれるだけの積荷のように
固定ベルトの圧迫が 肋骨に伝わり
僕は数えるために 息をしていると
喉元辺りで笑われる
それでも 線路に車輪が噛みつく音の
抑圧を軋ませる悪意に
震えている 幼い恐怖のバルジ
君のいる故郷が肺でできていて
膨らんでは萎み
ブラックホールの呼応に
敏感に反応しては 人の願いを回収することを
僕も望んでいるよ たぶん
また掴み損ねた
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