2016年6月3日から2016年6月16日の間、電子書籍各ストアにて「世界が認めた! スゴイ!ニッポン市」というフェアが開催中だ。テーマは「日本古来の文化・伝統・技術力を見直す風潮を反映したタイトルを軸に、厳選された本・372点を集めたフェア」となっており、刀匠や新幹線の作り方などといった日本の技術力についての本や、和装などの風習、礼儀正しさといった日本人の美徳についての書籍が対象作品となっている。対象書籍はすべて70%オフという太っ腹。

なお、対象となる書籍の多くがKADOKAWAグループのものであること、当該フェアについての告知の多くがダ・ヴィンチニュースからの転載であることを鑑みると、KADOKAWA主導のセールであろうと思われるが、これといった「証拠」は見つからなかった。電子書籍各サイトではそれぞれ独自にクーポン・ポイント還元や値引きなどのセールを行っているが、たとえばAmazon Kindleには特設ページが設けられていないことから、版元側が独自に動いた結果のセールといえるだろう。

電子書籍の値付けは紙の書籍と異なり、ストアによって異なることが大いにありうる。紙の書籍は再販保護制度によって一定価格を義務付けられているが、通常の商品ではセールの実施を決めるのは小売店(書店)の都合だけではなく、製造元や流通の都合で決めることは日常茶飯事だ。たとえば、特定のパソコンメーカーが家電量販店にインセンティブ(50台売ったら100万バックマージン)を提供することなどはよく知られている。

そう考えて商品(この場合は書籍)をよく見てみると、2,3年前の書籍が多く、確かに70%オフにしても大して影響が出そうもない作品が多い。商品としての旬が過ぎたものをパッケージングして耳目を集め、バルクで売ろうとするのは、書籍以外の商品では当たり前のことであり、それがようやく書籍でも実現する時代になったことは興味深い。