五月三十一日午前、岐阜県美濃加茂市美濃太田駅前に存在する当地を代表する文豪坪内逍遥(1859~1935)の銅像に、藤井浩人市長の手により、温室ガス6%削減の啓発を行うための公式ポロシャツが着せられた。

しかし翌六月一日午前八時ごろには、ポロシャツが脱がせられているのが見つかった。シャツの行方は分かっていない。美濃加茂市は、「いたずらと勘違いした誰かに善意で脱がされたのかも」と言う推測も成り立つ事から、今のところは被害届を出していない。ポロシャツのサイズは特注の5Lで、普通の人にとっては着慣れないサイズであることは間違いない。

銅像を何かの啓発、あるいは悪戯心の表明の舞台として使用する例としては、京都大学の折田先生像などが有名である。

今回被害にあった像その人である坪内逍遥は、明治時代初期に西洋の小説を盛んに紹介し、また1885年(明治18年)にはそれまでの戯作的小説から客観的な描写への変化を訴える文学論「小説神髄」、それを実践した小説「当世書生気質」を発表し近代日本文学のスタートラインを定めた文豪である。後にはシェイクスピア全作品の邦訳に挑み完成させた英文学者としての側面もある。