ノワールとは、「歪んだキューでゲームを始め、多くを望んで少なきを得て、善をなすつもりで悪をなしてしまったおれたちみんな」の物語である……(ジム・トンプスン『おれの中の殺し屋』(1952)より引用…
BTTB応募作品です。私は、カミュの戯曲における処女作『カリギュラ』を下敷きに、ほのぼのしたものを書いてみようと思いました。 論理だ、カリギュラ、どこまでも論理を追ってゆけ。権力の果…
1 「あの人、どうして眼帯なんて着けていたのかしら?」 「眼帯? ああ、うん、どこかでぶつけたんじゃない? でも、眼帯なんて着けていたっけ?」 「……あなた、冗談でしょう? 本気でいってるの?」…
病に倒れた父との、ささやかな時間の共有。
2018年7月合評会参加作品です。「明日世界が確実に滅びるとして」
過去につくったちょっとした回文と、その読解のつもりで書いた小説を新しく書きなおしました。
誰もが一度は経験する『離人感』や『現実感の喪失』、それが過度になると、人間はどうなるのか。
エメーリャエンコ・モロゾフが幼少期に書いた散文の翻訳です。
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きみはおびえていたのだ 光の予感のなかで 過去形の詩句のなかで 見ることは、またひとつ終わらせること なぜ詩人は、四角に切り取ったのか 世界を 見ることは、四角く見ること ノーマルな視線とは、春…
嘘だと思って読んでください。 平成30年9月度破滅派合評応募作品。
誰にも聞こえないことを確かめて、ふう、とひとつ長く深い溜息を吐くと、まるで予定されていたかのように、自分は何から何まで間違ったことばかりしているのだという、漠然とした妄想に襲われた。それは白いT…
長い回文です。ここに書かれている言葉の羅列は、回文という手法が要請したものであり、その言葉たちによって成り立つこのドキュメントは、必ずしも作者の本意ではない。にもかかわらず、こうして書き上げなけ…
2018年度11月度合評会『平成歌謡大全集』応募作品。THE BLUE HEARTS『人にやさしく』(メジャーリリース、1996年:平成8年)講談社受付の方、すみません。それでは聴いてください。…
佐川恭一という作家をあなたは知っているだろうか。もしまだ聞いたことがないのであれば、本論はそのよき道しるべとなるだろう。
尖ったものだらけの世界 肘が突き刺さる。色んな人の尖ったものが突き刺さる。尖ったものだらけだ。電車の中ではみんないつもより尖る。 僕は周りの人に迷惑かけないように、ちゃんと丸めてある。いつも磨…