KADOKAWAをはじめとする多くの出版社は、これまでWeb上で話題になった作品を書籍化するということを行ってきたが、その「ネットで話題に」の発火点の一つであるPixivとKADOKAWAがタッグを組んだ。ピクシブエッセイの看板作家の一人であるつづ井はまさにPixivから火がついた漫画家の一人で、腐女子の日常を綴った『腐女子のつづ井さん』で一躍人気マンガ家へと駆け上がった。

スマホ普及以後、TwitterやPixivなどでは2〜4ページ程度の短い漫画が「バズる」ことが多くなった。「育児」や「オタク」などのある程度の規模をもった特定集団クラスタのあるあるを力の抜けた絵で描いた漫画を見たことがある人も多いだろう。プロの漫画家が余技として挙げたその種の漫画が沢山のRTを稼いでいることも多い。コミックエッセイはWebと相性がよく、ある程度のヒットが見込めたものを書籍化していくのはビジネスとして手堅い。

なお、ピクシブエッセイは紙の雑誌として創刊するのではなく、Webサイト、それも既存のPixivコミックの一コーナーとして存在するようだ。厳密な意味で言うと、「雑誌」ではなく「レーベル」であり、Webサイト内の一コーナーとしてどれだけブランディングしていけるのかは、滅び行く雑誌文化の先を占う上で興味深い。

ところで、育児やヲタクあるあるなどのコミックエッセイによってスターダムになった漫画家の中には、花型のストーリー物で通用しなかった挫折組も多く含まれているようだ。場所を変えたらヒットに恵まれるのも世の常、画力に覚えがある方は挑戦してみてはいかがだろうか。ちなみに、小説家から漫画家へと転身した作家に豊島ミホがいるが、なかなか厳しいようだ……