hontoは日本の出版界における巨大企業の一つ、大日本印刷がそのグループ企業(丸善ジュンク堂、図書館流通センターなど)を巻き込んで2010年に開設したハイブリッド型総合書店である。電子・物理双方の書籍を取り扱うことができ、かつグループ系列書店での受け取りもできた。2011年にはNTTドコモとの共同出資で設立された会社2Dfactoを運営会社とするなど、業界再編のテコ入れ起点となっていたようだが、その共同出資も2018年には終了した。

電子書籍という抗いがたいコンテンツ消費の形態移行を前にし、出版流通業界の雄が立ち上がったというのはhonto設立の経緯であろうが、よりによってそのhontoが印刷本の通販を終了するというのは、終わりの始まり感を覚える。グループ会社である丸善ジュンク堂書店のオンラインサイト立ち上げも計画しているようだが、はたして。

2024年には物流改革が行われると言われており、日販もコンビニへの雑誌配送を近く終了すると発表した。書籍というものは、読者の手元に届く前に必ず誰かが運んでいる。書店から取次への返品も、当然ながら配送料がかかっているわけで、売れることのなかった本でさえ流通コストがかかっている。見計らい配本(取次が全国の書店に本を送る制度。「ここならこれぐらい売れるだろう」という取次の判断で配本する)も近い将来なくなるのでは、という噂も耳にしたことがある。出版流通の明るい未来はまだ遠そうだ。