オルタナキュレーション「惑星と口笛」が主催する「第5回ブンゲイファイトクラブ (BFC5)」 決勝の結果が26日に発表され、「お会いしましょう」作者の蜂本みさが優勝者となった。準優勝は「ヴィゴ」作者の鳴骸。決勝ジャッジは野村金光が担当した。

 ブンゲイファイトクラブは西崎憲が運営する「惑星と口笛」が2018年から毎年開催するオンラインの文芸イベント。文芸による名誉をかけた戦いで、賞金なし、参加資格もジャンルの制限もなく、原稿用紙六枚以内で書かれた作品で戦う文芸トーナメント。出場ファイターを同じく公募で集めたジャッジが判定して勝ち上がりを決める。さらに、ジャッジ自身もファイターによってジャッジされるというルールが特徴。

 「お会いしましょう」は、移動する近鉄電車の中で語り手が「あなた」に「おばけ」についての不思議な体験を語り聞かせる二人称小説で、様々な読みをもたらす読者に開かれた作品。

 「ヴィゴ」は、朝目覚めると一人暮らしの部屋に俳優のヴィゴ・モーテンセンがいるという事象に対面した語り手がヴィゴ・モーテンセンについて思考を巡らすユーモラスな掌編。なお、鳴骸は岩城裕明名義のホラー作家でもある。

 蜂本はBFC初回で準優勝、BFC2で王者に輝いていて、三年ぶり二度目の優勝という快挙を達成。現在Kagya Planetで長篇『遊びの国のモシカたち(仮)』を連載中でもある、今後最注目の書き手だ。

 また、今回は「火葬場にて」という作品で卜部兼次名義でファイター出場を果たした、同人の小林TKGの活躍も目覚ましかった。「火葬場にて」は多くの読者から好感を持たれた感想が目立った。昨年のBFC4には破滅派同人として、「坊や」の作者わに万綺が初出場しており、今後の同人たちの更なる活躍が期待される。