2016年6月2日、月額制オーディオブックサービスAudibleが「名作文学に関するアンケート調査」を発表した。調査概要は以下の通り。
実施日:2016年04月15日(金)~2016年04月17日(日) 調査方法:インターネットアンケート
調査対象:20~59歳男女 有効回答数416名
※なお、本調査において「名作文学」の定義は具体的に提案していません。回答者個人の主観で判断した回答となります。
調査結果のサマリーは次のようにまとめられている。
- 53.1%の人が、名作文学と知っていながら読んでいない本があると回答
- 思い浮かぶ(読んでいない)名作文学は「吾輩は猫である」「坊っちゃん」「人間失格」など
- 72.4%の人が名作文学を知っていることは教養だと思っている
- 58.4%の人が、名作文学を最後に読んだのは1年以上前。現在読んでいる人は2.9%
- 名作文学と知っていながら読んでいない本がある理由は、60.2%が「忙しい/時間がない」次いで「興味がある作品がない」「購入が面倒くさい」「目が悪くなったので疲れる」
- 名作文学をよく読んでいた時期は、47.3%が中・高校生(47.3%)
- 今まで読んだ名作文学は半数近くが1~5冊程度
- 名作文学のタイトルと作者を言える人は全体の7割程度。1冊~5冊程度が37.0%で最も多い
- 名作文学のストーリー、既読者の約半数は1~3冊程度、2割は4~6冊程度は覚えている、一方、16.7%の人が1冊も覚えていないと回答。約5人に1人は忘れてしまっている?
- 名作文学のストーリーを3冊以上人に紹介することができる自信がある人は19.2%(「とても自信がある」「やや自信がある」計)。過半数は自信がないと回答
- 名作文学既読者の62.9%は、もう一度読み返したいと思っている
「名作文学」の定義をAudibleは明らかにしていないが、アンケートに対するユーザーの回答は次の通り。
- 『吾輩は猫である』夏目漱石
- 『坊っちゃん』夏目漱石
- 『人間失格』太宰治
- 『火花』又吉直樹
- 『伊豆の踊子』川端康成
- 『こころ』夏目漱石
- 『罪と罰』ドストエフスキー
- 『羅生門』芥川龍之介
- 『走れメロス』太宰治
- 『金閣寺』三島由紀夫
実際にAudibleのサイトを訪れると「名作文学」というカテゴリーが存在しており、夏目漱石などといった近代古典文学の他、白石一文、乃南アサなどの売れっ子作家の代表作が幾つか並んでいる。これはユーザーの回答とあまり齟齬がない。「名作文学」という言葉は著名な古典と一部現代のベストセラーから成り立っているといえるだろう。
これら「名作文学」の一部は教科書に掲載されているだろうものも含まれており、アンケートを答える側の心情を考えると「名作文学を一つも知りません」とは答えづらく、なにかしら答えなければという義務感から記憶をほじくり返すと「そういえば教科書に載っていたアレ」が出てくると思うのだが、それは下衆の勘ぐりだろうか。
Audibleは月額1,500円のサービスだが、現在は無料期間が一ヶ月(Amazonプライム会員なら三ヶ月)ある。オーディオブックに馴染みのない方は、一度試してみてはいかがだろうか。筆者は一度試してみたのだが、どうもなじまなかった。アメリカではオーディオブックのシェアが日本よりも高く、それは車社会であることや識字率などが関係しているらしいのだが、自動車通勤・自転車通学などをされている方にはオススメかもしれない。
余談だが、破滅派は2007年ごろに、アニメ声優に萌えボイスで古典文学を朗読してもらうサービス「ろりてらちゅ〜る」を開始したのだが、時代が早すぎたため、1年ほどで終了した歴史がある。
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