都内千代田区神田の神保町シアターにおいて10月28日~12月1日まで、日本の文豪たちが描いた「恋ごころ」の情景をスクリーンで映す『文学と恋愛──文豪たちが描いた「恋ごころ」の情景』特集上映が行われる。

 学生の淡い恋を描いた夏目漱石「三四郎」、悲恋ものの名作である伊藤左千夫「野菊の墓」や泉鏡花「白鷺」――これらが書かれた明治時代は、まだ日本の庶民の間では自由恋愛は許されるものではなく、小説に描かれたのは、男女の間で交わされる恋愛未満の「恋ごころ」がほとんどだった。

 今回は、文豪たちが「恋ごころ」について描いた小説が原作の文芸映画を特集。川端康成の『雪国』や、三島由紀夫『潮騒』、夏目漱石『こころ』など定番の作品はもちろん、2009年に公開された、根岸吉太郎監督による太宰治原作の『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』といった比較的新しい作品まで全20作品を上映する。

 昭和には多くの文豪の作品が映画化しているが、原作は読んでいても映画は観ていない人は意外と多いのではないか。そういった人にとっても、この機会は喜ばしいことだろう。