映画プロデューサー伊藤耕一郎容疑者の逮捕を受けて

おしゃれなコケシ

エセー

1,563文字

この世がクソすぎて嫌だと思わないように、自分を鼓舞するために書いています。

私がアニメのことを諦めたのは2000年、テアトル梅田で「人狼 JIN-ROH」という映画を見た時。その頃は人生で1番映画館に行くことを楽しんでいた時期だったが「人狼 JIN-ROH」は、やたらと女性の足が強調されて「足が好きなのは分かったけども…」という気分だけが残った。その後も、名作と言われるアニメは見ようと試みたが、どれもこれも楽しめず、私はアニメを見る才能がないのだと諦めた。

そんな私も、さすがに新海誠作品は見ておこうと努力したがやはりだめだった。そして年を重ねた今、アニメを見られない理由のひとつとして「女性を性の対象にする男性の目線が強調されすぎる」という点があると分かってきた。例えば「天気の子」だと主人公の少年が、成人男性の家だか事務所だかに行った際に、成人女性のブラジャーを見つけてしまってアタフタする、というシーンがあった。それは「面白くて笑ってしまう、ほほえましいシーン」として描かれる。しかし、成人女性の私からすると何が面白いのかさっぱり分からないのである。まず下着の内、パンツは汚れやすく毎日履き替えるため、新しいパンツを履いたあとに脱いだパンツを忘れて帰るということはありえる。だがブラジャーは毎日洗濯が必要かというとそうではないので、忘れて帰る可能性は低い。男の家に宿泊する際わざわざ新しいブラジャーを持参する清潔好きな性格の女が、使用したブラジャーを忘れて帰るのは整合性がとれない。では普段からブラジャーを付けないタイプで付けるのを忘れて帰ったかというと、カップ数からしてノーブラ派ではないと思われる。考えられるのは自分の存在を他の女性にアピールするために、わざとブラジャーを置いて帰る、または下着をタンスに入れない面倒くさがりの女と一緒に住んでいる、この2つのパターンならば納得はできる。しかし、映画の中ではそこまでの背景は説明されず、「少年が自分から求めたわけでもないのに大人のエッチな世界を想起する事態になる」、性交を匂わせるアイテムとして使われるだけだ。

そのシーンは、少年や元少年、いつまでも少年の心を持っている「異性を性の対象としている男性」だけを観客と想定している。毎日、実際にブラジャーを使用しているおばさんの私には、ブラジャーは性交を匂わせるアイテムではない。だが、異性を性の対象としている男性の目線は世の中にあふれすぎていて、「ブラジャーという記号で少年が喜ぶ」という描写が普通だと私たちは思いこまされている。ブラジャーを他人の下着としか思わない少年もいるし、観客には少女も女性もいる。その点は無視されて、ブラジャー=エッチなものという記号を受け入れて当たり前、と映画は提示してくるのだ。

「すずめの戸締り」は、主人公の女性が活躍し男性が椅子になってしまいあまり働けないというストーリーで、恋愛ではなく相棒としての関係を描こうとしていて「天気の子」に比べると作り手も時代に合わせてステップアップしようとしているのかと思った。しかし、「椅子視点、主人公の可愛いシーン集」が唐突に始まり「やはりアニメの作り手というのは、女性好きな男性視点を入れないと作品が作れないのだな」とがっかりした。アニメに限らず、映画でも男性監督が圧倒的に多いので、女性の描き方が変だと思うことが多くて辟易している。作品というのは大勢の人間が関わって作られていると聞くので、「このような男性目線のシーンは必須なのでしょうか?」と誰か進言しないのだろうか、と不思議に思っていたのだが、プロデューサーが捕まったというニュースを見て、答え合わせになった気がした。守られるはずの子どもを、自分の欲望を満たすために利用しだますような人間が、ブラジャーを記号として使う意味や世の中に与える影響など、考えるわけがないのだから。

2024年3月3日公開

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