曖昧な破滅や、劇的な単調、
紅茶と、それに溶ける檸檬のことを考えて
窮屈な日曜をやり過ごす猫が
次に迎える晩秋を か細い声で喜んでいる
僕はそれを、憂いとともにみている
竜巻のような不安に、僕の人生を奪われてしまったために
階段を登るのは、妖精か呪文か
幼い日、化け物はよく僕の心を萎縮させたが
いま、僕はそのものと化しているようだった
さよなら、先生
さよなら、あなた
さよなら、僕と
その仲間たち
夕暮れと間違われた朝焼けが
人差し指に広がっていく
かすかな甘味に
金属的な色を混ぜて
「昔々、この世界には街があってね。
この世界が、綺麗事になってしまう前の話なんだけど」
無意識に火をくゆらせる少女は
生が欠落した空間において
言葉のなかにのみ存在する不潔を
密かな憧れにしたためていた
枕もとに、水色の太陽を灯して
彼女はきっと、ひどく長い物語を生きている
記述から逃れた、ある休日の昼下がりに
ほんの出来心から、詩を読む気になったのだろう
僕の心拍は
恋に落ちるごとに駆り立てられる
それでも目を見張る朝や空や夕立ちがあって
神聖な気配が街に降り注ぐ春がある
できることならばあなたと
黒い部屋をゆきたい
髪が一本抜けた日に
絶望を楽しんでいるのは何も
あなただけではないのだから
あらゆる接点が関係を失った街角で
人知れず聞こえてくる泣き声があるとしたら
それはおそらく迷子の子どもではなく
猫のしわざによるものでしょう
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