パレスチナ

黒川祐希

940文字

詩です。不思議に思ったことについて書きました。

二十歳でやめるんじゃなかったの
大人になってまで続けてるんだ
伏し目がちの黒い正義で
弾糾することに意味はあるのか

 

海はあるのか見に行った
想像以上にらんらんとしていた
ニュースで観るよりもずっと孤独で
深い紺色の海だった
パレスチナは、僕よりも少し
世界を知っているようだったので
口をつぐむほか術がなかった

 

歴史の塵に埋もれつつある
名もない映画監督の名を皮切りに
僕たちのしりとりは始まって
終わった記憶がまるでないから
おそらく今も続いている

 

パレスチナは
僕の問いをはぐらかし、父が宇宙飛行士であると言って
窮屈な猫の声真似をした
猫だと捉えてしまったがために僕は、パレスチナの虜であった

 

似たような壁、似たような笑顔が日を追うごとに乱れていって
いつしか、テレビでパレスチナを見かけることはなくなった

 

パレスチナとは、誰のことなのか
それをここで明かすことはできない
夏の極点の破ける部分を除いて、その姿を直視できる存在はない
パレスチナとは、何を意味するのか
それも言葉ではままならないのだ
色や幾何学を用いたところで、経理的意図は表せない

 

「まだ子どものままなんだ。ずっと不幸と遊んでるんだ」

 

ふてくされたような労働や
華々しいサボタージュの夢に倦んで

 

「二十歳でやめるって言ってたのに、いつもそんなことやってるんだね」
パレスチナ、もう言わないでくれ
僕のあなたを貶めないでくれ

 

パレスチナとは、誰のことなのか
それを明かす方法を僕は持たない
ただもう夜に膨らんだ赤い果実が
みしみしと頭蓋骨を突き破ってくるだけで

 

二十歳でやめられなかったから僕は
世界を映画化する動きに出たが
果たしてパレスチナはそれを
どこから見てくれているのだろうか?

 

不文律の宗教を持った獣たちが
言葉の成り立ちを威嚇したために
大勢の豚を引き連れて
鋭い傾斜の山道をくだっていた僕たちは
ついに世界の果てにそこがあることを
確認する朝を迎えなかった

 

いったい何をしてきたのと
断じて自然ではない、病的な政治的中立を保った恋人たちは
責め立てる声を背中にパレスチナ、
あなたは星に、何を願っていたのだろうか?

 

 

 

2021年2月22日公開

© 2021 黒川祐希

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