理由

黒川祐希

368文字

詩です。文章を書くときの姿勢は、基本的に体育座りです。

空白の日々を
塗り潰す動機を探している
そもそもが白紙であるかもしれない僕に
新たな色を与える動機を

 

からだをキャンバスに見立て
おかしな絵を描き続けていた頃
僕は違和感の正体に気付かなかった
もっとも重要なのは
僕が画家であって絵ではないという事実だった

ただでさえ悪趣味な感性だから
いくらでもズタボロにできてしまう

 

息を吸い、吐く
その行為に嫌気が差した人間は
せいぜい太陽に愚痴を吐くか
皮膚を脱ぎ捨ててしまうかしかない
それは思想でも
科学ですらない
ただのボディの傲慢に過ぎない

 

言い訳のようにという
浅はかな比喩表現を
言い訳のように塗りたくっていた日曜に
朝は、存在する理由を失った

 

僕はそれで泣いたのではなかった
それは泣くほどの理由ではなかった
僕が泣いたのはただひとつで、

それを書いたら殺されてしまう理由からだった

2021年2月21日公開

© 2021 黒川祐希

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