文字でなく
詩篇を透かす午前の光が
世界と繋がっていることを知った
猫と
ワイングラスから香る果実酒が
季節の改造を祝福している
僕でなく
街を走る温かな風が
希望に繋がっていることを
そこに
微かな自殺の予感が孕まれていることも
春と記憶とは
双方向的な関係にあることが
揺らぎのなかで生まれる僕があって
愛のなかで生まれる揺らぎがある
静けさを失った夜の酔いと
居酒屋から生まれる雑多な会話
そこに息を吹きかける鮮やかな髪の女は
肌が小麦色に焼けた詩人だった
鳥が運ぶ異国への憧憬は
すぐ手もとにあるアメリカの嗜好品の上に潰れ
いま僕は三十円の憂鬱に
風情のない愛撫を重ねている
季節を改造した日
工場で腕を落とした男があった
名付けることで生まれる命があり
名付けにより欠落する生命があった
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