日常。(31)

日常。(第31話)

mina

小説

1,289文字

時々、誰に抱かれているのか、解らなくなる時がある

「気持ちいい?」
「…うん」
私はいつも彼に抱かれている
彼の都合のいい時間に呼び出されて、セックスをしている
「ココ、濡れてる」
「…ん…ダメ、気持ちいい…」
彼とのセックスはいつも気持ち良くて、他の事を全て忘れられて…彼の傍がいつも心地好かった
気持ち良くて、どうしようもなくて、彼と離れられなくて
「最近…」
「 ? 」
「一緒に遊園地とか行ったりしてないね」
「あーそうだな、俺あんま休みとれないからなー」
「ご飯たべて…セックスばっかり」
私がそう言ったら、彼は笑って
「来週の休みにでもどっか行くか!」
って私の頭を撫でた
何となく嬉しかったけど、何か私…彼を指名してるお客さんみたいだなって思っちゃって、複雑だった
「ねぇ、私の事…好き?」
「突然、何言ってんだよ」
彼とはお客さんと風俗嬢って関係じゃないのに2人でいるのに1人でいるみたいだったから
「好き?」
好きっていって欲しかった
好きって言われたかった
2人でいる時間がセックスだけだなんて…
そうかあの人もこんな気持ちだったんだ
きっと2人でいるのに1人でいるみたいだったから…

「僕の事、どう思ってる?」
「どう…って?」
「少しは好きかな?」
「どうしたの急に」
私はきっとあの時、あのお客さんを無意識に傷つけていたのかも知れない

「好きだよ」
そんな事思ってたら彼が私を抱き締めたから、思わず涙が出た
「お前、何泣いてんだよ」
「ゴメン」
「来週はちゃんと休みとるからさ、動物園にでも行くか」
「うん」
何だかよく解らなくなっちゃった
私、一体どうしたいんだろう、どうしちゃったんだろう

「ふーん」
「ふーんって!」
「まぁ私もそんなのよくあるからさ、ふーんって言ったの」
「何か、お客さんはお客さんなんだけどさー」
「…でも、セックスはしないにしても肌を合わせるワケだから…」
「情ってヤツかな?」
「そうかもねー、今度そのお客さんついたら抱きしめてやればいいじゃん?」
「そういう問題かな」
こんな悩みを分かち合える同僚がいて助かる。待機室でみんなストレス解消してんのよね
風俗の仕事の悩みなんて、普通の友達になんて言えないし
「てか、客にいちいち情なんてかけてたら仕事になんなくない?」
「それもあるかもねー」
「 … 」
「お客様いらっしゃるんで、もうちょっと静かにして下さいね」
「はーい」
「今来てるお客さん、アンタが気にしてるお客さんぽくない?」
「そうかな…」
「そうやってお客さんと普通に恋愛してるみたいなアンタが私は羨ましいよ」
お客さんと恋愛!?

なんてみんなで噂してたら、私が気にしてる、あのお客さんだった
「久しぶり、元気だった?」
何か妙に意識しちゃうんだけど
「お久しぶりです、元気でしたよ」
自分の顔が赤くなっていくのが解る
「どうしたの?」
「なんでもない」
彼と付き合い始めた頃みたい、何このトキメキ?っていうか…
「ココ、触って」
「え…濡れてる」
どうしよう、やっぱり触られただけで気持ちいい

end  

2014年12月15日公開

作品集『日常。』第31話 (全70話)

© 2014 mina

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