日常。(34)

mina

小説

1,377文字

どうやら僕はもてないらしい

「渡辺くんはいつ結婚するの?」
「いやぁ、もうすぐしますよ」
「私が後二十歳若ければねぇ…、あんたみたいに
真面目で誠実な男、ほっとかないんだけど」
「そうですか?」
僕は介護の仕事をしている
周りの女の人といえば、おばあちゃんや同僚のおばちゃんばっかりで…

「結婚か…」

僕はもう今年の六月で三十五歳になる、女性経験は…ない
付き合った女の子といえば、十八歳の時、野球部のキャプテンだった
僕を慕ってきてくれた、マネージャーの女の子ぐらいだ
「お前はさー、理想が高すぎんだよ」
「 … 」
「女の子に自分の理想の女性像を押し付けちゃいけない、
女は女かも知れないが、同じ人間だって事を忘れるな」
「 … 」
「お前このままだとずっと独身で、寂しく一
人で死んでいく…なんてことになっちまうぞ?」
僕の友達達はもう全員結婚していて、中には不倫してるヤツもいる
「 … 」
僕はそいつらと飲んだりする時、いつも心配される
『早く結婚しろ』って言われる
「俺はお前が心配だー!」
「お前飲みすぎだって、大丈夫か?」
僕にいつも『早く結婚しろ』って言ってくるコイツは最近夫婦仲がうまくいってないらしい。
奥さんが浮気してるって、いつも僕に愚痴をこぼしてくる
「 … 」
僕はますます、結婚に慎重になっていく

「先輩、私…」
またあの頃の夢だ。夕焼けをバックに何かを訴えかけているような目で
僕の前に現れる、マネージャー
「 … 」
この夢を見た時はいつも人恋しくなる
女の人に癒されたくなる
そんな時は僕が一番苦手な場所に行く

「今日はお前を風俗に連れて行ってやろうと思って」
「風俗?」
「そう、風俗」
最初はそう言われて、友達に連れて行かれた
そこには、女の人の写真が並べられて…
「今からだったら、この六人の中からがお早いご案内となりますよー」
「 … 」
この中から女の人を選ぶ?
「じゃぁ俺はこの子かな…お前は?」
俺は黙って、マネージャーと雰囲気が似てる女の子を指差した
「それではホテルの方なんですけど、只今混み合っていまして…
ご用意出来るまで、あちらでお待ち下さい」
こんなに簡単に女の子と出逢えるなんて、すごいって普通に思った
「なんか…」
「ん?」
「すごいね、風俗って」
「そうか、そうか。楽しんで来いよ」
「うん」
友達と別れて、ホテルの部屋で女の子を待つ
「 … 」
僕はものすごく、そわそわしていた

          ・

僕は結局、あの時のあの場所、あの店でまた女の子を選んでいた
そこには何かありそうで、何もないって解っているのに、
温もりを感じたかったみたいだ
そしてまた、僕はそわそわしていた
同じ事のくり返しだ
ドアのチャイムが鳴って、女の子が現れる
「こんにちは!」
「あ…はじめまして」
僕はまたあの時のマネージャーに似てる女の子を選んでいた
「…そんなに見つめられると照れます」
「あっ、ゴメン」
僕は恥ずかしくて、下を向いてしまった
すると彼女は僕にキスしてきた
「謝らないで下さい」
僕は彼女をきつく抱きしめて、今度は僕から
キスをした。彼女は照れくさそうに僕にこう言った
「ここ、触って」
彼女はもう濡れていて、僕の心は一瞬だけど満たされた
               end

2015年1月6日公開

© 2015 mina

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