日常。(67)

日常。(第60話)

mina

小説

1,603文字

1人で食事をすることには慣れている
最近では1人で食事をしていても抵抗がない店が増えていて、僕は非常に助かっている
そう、助かっているはずなんだ
だけど…やっぱり1人は寂しい

「挿れないとイケないって言われたの?」
「うん」
「バカなんじゃないの?そのオヤジ!」
「そうなんだけどさ…」
「そうなんだけどさ…じゃなくて、そんな客
出禁よ!出禁!」
「確かにもう来て欲しくないわよねぇ…」
でもまた来そうな気がするんだよね、あのお
客様、誰かと繋がりたくて…また来ちゃいそ
うなんだよなぁ…そんなこと言ってるとまた
出禁よ!って騒がれちゃうなぁ…

         ・          

今日は何を食べようかって考える、夜が1番
メニューに困ってしまう
やっぱり夜が1番長くて、夜の暗いあの感じ
が闇に包まれているようで、僕にとっては1
番辛い
そう、1番…1番辛い、夜が最高に辛い
「コーヒーのおかわりはいかがですか?」
「あ、お願いします」
今日はファミレスのハンバーグを食べた
ココは自分で取りに行くドリンクバーではな
くて、店員さんがコーヒーのおかわりを定期
的に尋ねて来てくれるところだから気に入っ
ている
「まだ8時か…」
まだまだ続く長い夜をどうやって過ごそうか
と考えているとき、この前出逢った子のこと
を思い出した
「…とりあえず写真だけでも観に行ってみるか」

         ・          

「こんばんは」
「君がちょうど空いてるって言われたからさ」
「また逢えるって思ってなかったからビックリした」
「そう?」
挿れないとイカないって言ってたお客様がや
っぱりまた来た
また逢えると思ってなかったなんて白々しい
嘘をついてみた
そのほうがこの人にとっていい気がしたから

風俗嬢にまた逢いに来た男だと、寂しい男だ
と思われることを最も嫌うだろうと、私が勝
手に推測したからだ
「また逢えて嬉しい?」
「…それはベットの中で答えるよ」
「そうか」
この人の笑顔はとても素直で、可愛かった
「あ、歯ブラシいいかな?」
「あ、うん」
「…さっきコーヒーをたくさん飲んだから、なんとなくね」
「コーヒー好きなんですか?」
「あぁ、うん」
「だったらこの近くにあるファミレスで、淹れたてのコーヒーを店員さんが定期的に配りに来てくれるところがあるんですよ」
「 … 」
「そこのコーヒー、ファミレスにしては中々
 イイ味出してて美味しいんです」
「…そうなんだ」
急に不機嫌になったその顔は私を完全にシャ
ットアウトした
コーヒーの話が気に障ったんだと思ったけど
もう遅かった
「…ベット行きますか?」
「あぁ」
ベットの上は何だか冷たくて、2人でいるの
に1人でいるみたいだった
僕はこうして2人でいることに何の意味があ
るのだろうと、こういう店に来ていつも思う
お金を払っているからこの女は僕と一緒に居
るワケだから何の意味があるのだろうなんて
考えること自体が無意味なんだろうけど
「どうしたの?」
僕はこの前と同じことを言ってみた
「…僕は挿れないとイカないんだ」
「そう…でも挿れるだけじゃ味気ないじゃない?」
「僕は他に何されてもイカないよ」
「例えば?」
「例えば…フェラチオとか、乳首を舐めるとか…キスとか」
「じゃぁこれは?」
ふいに手をぎゅっと握られて、僕はかなり動
揺した
「これは言われてないもんね」
今まで虚勢を張っていたのに、手を握った途
端それが崩れていったような気がした
その手のひらは汗をびっしょり掻いていて、
とても可愛かった
「何でベットの上でお互い裸なのに、手なんか繋いでるんだよ」
「ダメかな?」
「…ダメじゃないけど」
胸に耳をあてたら、鼓動が物凄く速くて…私
の股間がその鼓動に反応してカンジていた

               end

2015年10月2日公開

作品集『日常。』第60話 (全70話)

© 2015 mina

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