日常。(65)

日常。(第58話)

mina

小説

1,481文字

自分の周りでいい匂いがすると癒されたりして、とても落ち着く…
いい匂い、香りに包まれている自分がとても心地いい
「ねぇねぇコレさぁ、新発売なんだって、超いい匂いじゃない?」
「あっ!本当だ!いい香り」
私たちは仕事柄なのか、いい匂いに弱い
ヘアコロン・香水・ボディソープ・シャンプー・コンディショナー・ボディミルク・ハンドクリーム…新発売のいい匂いのするやつはみんなに教えたくなる
「コレ、本当にいい匂い…」

仕事が終わって、電車に乗って帰っているとき、隣の人が妙に気になってしまう
髪の毛汗臭くないかな、グリンスの匂いしないかな、ヨダレ臭くないかな、さっきのおじさんのポマードの匂いがしないかな…
そうやって色々考えている自分がすごく嫌になる
だからいい匂いのするモノをいつも探している
探して、見つけて自分をいい匂いで包みたいから

「時々さー」
「うん」
「客で中から臭ってくるヤツ、いるよね?」
「中から?」
「そう!洗っても洗っても臭いヤツいるじゃん!」
「あぁ…」
「もうイソジンを原液のまま、ガブガブ飲ませたいカンジのヤツいるよね?」
「 … 」
彼女の言ってることは大げさだけど、よく解かる
確かに洗っても洗っても匂いがとれないから、何だかんだ言って2~3回洗ってしまう人がいる
その洗っても洗っても落ちない匂いは独特で、カラダに顔を近づけたり、口に含んだり、舐めたりするときにキツくなってくる
お客様が私のカラダを舐めるときも同じような匂いがしていたら…って思うとゾッとしてしまう
何とも言えないあの匂い…出来ることなら嗅ぎたくない

         ・

だんだん暑くなってきて、女性が薄着になってきたこの季節が僕は大好きだ
朝のラッシュ時に女性の汗の匂いがプンプン匂ってくるこの季節…僕にとって至福の季節、毎日がパラダイスだ
僕は女性から匂ってくる体臭が大好きで、香水やボディミルクなんてナンセンスだと思っている
あんな美味しそうな匂いを訳のわからない果物や花の匂いで消してしまうなんて…全く以ってナンセンスだ

         ・

今日は水曜日、きっといつもの時間にあの人が来る
あの人はいつも「僕と逢うときは香水やボディミルク、匂いのキツいボディソープ、シャンプー、コンディショナーを使うのはやめてね」と言ってくるので、水曜日はいつも憂鬱になってしまう

「ちゃんと何も付けてない?」
「はい…」
「どれどれ」
最初にカラダ中を隅々まで嗅がれるその行為は、私にとって物凄く恥ずかしい行為だから、私はいつも精神的にヤラれてしまう
「うん、今日もいい匂いだ」
「…そうですか?汗臭くないですか?」
「それがいいんだよ、キミは非常にいい匂いがする」
「そんなことないと思うんですけど…」
「ううん、キミは気づいてないだけ」
そう言ってカラダ中を嗅ぎまわった後に今度はカラダ中を舐めまわしてくる
「んっ…」
丁寧に優しく舐めてくれるので、痛くはないんだけど…暑い中クーラーをかけさせてくれないから、後から後から汗が出てきてしまって…
「美味しいよ、もっとちょうだい」
それがまた喜ばせてしまうみたいで、代謝のいい自分をいつも恨んでしまう
「 … 」
…もちろんクーラーをつけてないんだから、汗だくなのは私だけじゃない、またあの独特の匂いがしてきた
2人の体臭と汗の匂いが入り混じって…
「んっ…!」
「イッちゃったの?」
「はい…」
苦手な匂いに包まれて嫌な気分のはずなのに、どうしていつもイッちゃうんだろう…
               end

2015年9月18日公開

作品集『日常。』第58話 (全70話)

© 2015 mina

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