日常。(63)

日常。(第56話)

mina

小説

1,401文字

男も女も同じ人間なのに、解り合えないことが多いのは何でなんだろう?

この前もこんなことがあった

その人はシングルマザーでいつも疲れた顔をして出勤して来ていた
「 … 」
私はその人を見るたびに女手一つで子供を育てていくのって大変なんだなぁって、思ってた
だけどお客様はその人がシングルマザーで大変なんて理由は知らないし、解らないから、その人のその疲れた顔はお客様を不快にさせるみたいだった
「またか…」
「店長どうしたんですか?」
「いや、何でもないですよ」
ある日店長が電話に出た後、大きなため息をついていた
「 … 」
私は何となく気になって、店長と従業員の会話を立ち聞きしてしまった
「またナツミさんですか?」
「うん、しかも今回はかなり深刻だね」
「ナツミさんの事情なんてお客様解らないですからね~」
「今月入って三回目か…」
「店長そろそろナツミさんのこと、決断した方がいいんじゃないですか?」
「 … 」
店長のため息の理由はいつも疲れた顔をしているあの人のことだった
「次回無料にして、また来てもらうか」
「そうですね~」

そう言えば前にあの人と話しをしたとき、こんなことを言っていたような気がする
「さっきの客さ~」
「どうかしたんですか?」
「プレイが終わった後もベタベタ、ベタベタ触ってきてさ~」
「 … 」
「プレイ終わってんだから、触ってくんなってカンジじゃない?その分の金よこせっつーの!」
確かに私たちにとって、その行為はお仕事だ
でもお客様にとってその行為は、ちょっと違うのかも知れない
だからどちらの言い分も解る店長が大きなため息をついてしまうのかも知れない
時間内にお店で決められた行為をお客様にしてあげて、お金をもらう
それはスーパーでレジ打ちをしてお金をもらうというのとは、私もちょっと違うと思っている
「お金そんなにもらってないのに、何でプレイ内容に無いことまでやらなきゃいけないのよって、思わない?」
「…でも優しくされたりすると嬉しくないですか?」
「ちっとも嬉しくない、金よこせってカンジだわ」
「 … 」
“ナツミさん”の言ってたことは最もだと思うけど…

         ・          

「こんにちは」
「こんにちは、初めまして」
今日初めて逢うそのお客様は、優しい笑顔の年配の方だった
ちょっと馴れ馴れしく触ってくるのが気になったけど、それ以外は紳士的だったから、何となく安心出来た
「僕から責めていいかな?」
「…はい」
お客様はそう言って私のカラダを丁寧に舐め始めた
「んっ…」
その舐め方が絶妙で、すごくカンジてしまった
「…君はカンジやすいんだね、嬉しいよ」
「あっ…!」
私はクリトリスを、丁寧に丁寧に舐められて果てた
「すごく…気持ちイイ…」
自然に出た言葉だった
「…もっとシテあげるよ」
更に全身をくまなく舐められ、私は何度も何度もイッてしまった
「楽しかったよ、ありがとう」
最後にそう言われて、こう思った

やっぱり男と女は違うように見えて、実は同じ人間で、解り合えないと思っていても、その行為がその人を教えてくれるような気がする
「 … 」
なんてそんな漠然としたことを“ナツミさん”に言っても、伝わらないし、解り合えないんだろうなー

「…本当は優しくされたら、嬉しいんだけどね…」

               end

2015年9月5日公開

作品集『日常。』第56話 (全70話)

© 2015 mina

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