「文藝×monogatary.comコラボ賞」大賞に、有手窓(※投稿時の「あむだ前歯」から改名)『白山通り炎上の件』が選ばれた。

 文藝創刊から90周年を記念し、河出書房新社発行の文芸誌「文藝」と、monogatary.comの共催という形で新設された新人賞。テーマを「邂逅」とし、小説投稿サイト「monogatary.com」で実施され、879作の応募があった。選考委員を「文藝」編集長の坂上陽子、「monogatary.com」プロデューサーの屋代陽平、金原ひとみが審査員長を務めた。

 『白山通り炎上の件』は、生きづらさを抱える主人公が、ふとしたきっかけから想像もしない裏社会の抗争に巻き込まれるという、スピード感とユーモアあふれる作品。この小説を原作に、YOASOBIが新曲を制作する。さらに、その楽曲が株式会社リクルートとのタイアップソングになることも決定した。

 金原は「おかしなことと真っ向から戦うと損をする、現代的四面楚歌地獄から、クライムアクション的世界へと様変わりするトンデモ展開。 現代の生きづらさ、くだらなさ、息苦しさを笑い飛ばすかの如く、アクロバティックな俯瞰視点で描かれた物語に、救いと希望を感じた。」と選評を寄せている。

 受賞作はほか優秀作に、東旺伶旺『サイボーグになりたいパパゲーノ』と逆島テトラ『放浪する顔面』、佳作に、粒子『青い木と遺棄』、青井井蛙『グリーンベルベットの背骨』、nanase honjo『タイポグリセミア』、冬村『春と海』がそれぞれ選ばれた。

 なお、同コンテストのそのほか受賞作をまとめた単行本が、10月に河出書房新社から刊行されるとのこと。

 また、コンテスト受賞作品を掲載した「メモリアルフリーマガジン」の配布(今夏予定)ほか、様々な企画が予定されている。