今月は4誌が発売。

新潮2017年4月号

  • 先般から話題になっているように、又吉直樹の長篇第2作「劇場」(300枚)が目玉。役者志望者とその恋人をめぐっての話。
  • ほか創作に芳川泰久と大城立裕。
  • 対談では、黒川創×加藤典洋「『岩場の上から』から見えたもの」に注目。
  • いしいしんじは早速村上春樹「騎士団長殺し」の書評を寄稿している。
  • 木村朗子の「震災後文学の憑在論(hauntology)」は、デリダと能という一見すると関係のなさそうな2つの視点から震災後の文学に迫る評論。
  • 角田光代による梯久美子「狂うひと」の感想文(!)も。
  • ほか、青山拓央、天野裕氏、金川晋吾、辻山良雄、外山健太郎、岸政彦といった面々によるエセーも掲載。

文學界2017年4月号

  • 特集は「新世代作家の肖像」。朝吹真理子、上田岳弘、小山田浩子、加藤秀行、高尾長良、高橋弘希、松波太郎、宮内悠介といった作家たちにインタビューを敢行している。
  • 同特集では、他ジャンルの若手クリエイターによるエセーも複数掲載。藤崎彩織(SEKAI NO OWARI)、森山未來、松尾諭、こだまといったラインナップ。
  • 創作に椎名誠、青木淳悟、牧田真有子。
  • 林芙美子の未発表原稿「この憂愁」も掲載。廣畑研二による解説も。
  • 酒井信は吉田修一論を寄せている。
  • 先月逝去した三浦朱門への追悼文を富岡幸一郎が。
  • エセーには栗飯原文子、天童大人、柏葉幸子、野木亜紀子、野中モモ。

群像2017年4月号

  • 笙野頼子の長篇「さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神」(430枚)を一挙掲載。作家と猫の生活が人喰いによって脅かされる話、と紹介されている。
  • 川村湊「光との戦い──フクシマから遠く離れて」は、震災・原発事故以降の作家たちの戦いをあらためて問い直す渾身の評論。
  • 人気料理家・土井善晴によるエセー「家庭料理を初期化するということ」は昨今土井が取り組んでいる家庭料理の再定義活動の一環か。
  • ほかエセーに小松亮太、大澤聡、篠原かをり。

すばる2017年4月号

  • 特集は「あの人の日記」。10人の作家・クリエイターによる9本(1本は交換日記)の日記が掲載されている。ラインナップは長島有里枝、管啓次郎、川上弘美、津村記久子、本谷有希子、西川美和、舘野鴻、金原ひとみ、中村佑子+西山敦子。
  • 同特集では、過去の作家たちの日記を現代の作家・批評家が読んでもいる。奥泉光は山田風太郎を、保坂和志はカフカを、加藤典洋は武田百合子を、穂村弘は二階堂奥歯を、山城むつみはホッファーの日記をそれぞれ読んでいる。
  • ともに日記作品が話題となった小林エリカと植本一子による日記についての対話も。
  • 評論には、浜崎洋介「坂口安吾による「いたわり」」。
  • 連載陣では、青野聰「未老人ノート」と今福龍太「ハーフ・ブリード」がともに最終回を迎えた。

以上、2017年3月発売の4誌について概観をお伝えした。