今月は4誌が発売。

新潮2017年7月号

  • トップ扱いの小説は、昨年新潮新人賞を受賞した鴻池留衣の受賞第一作「ナイス・エイジ」(210枚)。ネット掲示板に予言を書き残していく未来人の話とのことで、ジョン・タイターを彷彿とさせる。
  • ほか創作に、大城立裕、柴崎友香、日和聡子、円城塔。
  • 評論では、福田和也による三浦朱門『箱庭』論、 吉川浩満の島田雅彦『カタストロフ・マニア』論、佐藤優の又吉直樹『劇場』論が掲載。
  • 黒川創による「鶴見俊輔伝」も今号よりスタート。
  • エセーに川上和人、佐藤直樹、プレイディみかこ、松原隆一郎、柳本光晴。
  • 対談は多和田葉子×堀江敏幸の「ベルリンの奇異茶店から世界へ」。
  • 第30回三島賞を受賞した宮内悠介のインタビューと選評も掲載されている。

文學界2017年7月号

  • 特集は『「真実なき時代」を読む』。御厨貴×関川夏央による対談や佐藤優による村上春樹『騎士団長殺し』論が掲載。アンケート<「真実なき時代」に対抗する一冊>には、加藤典洋、平野啓一郎、大澤真幸、田中慎弥、辺見庸、橘玲、西田亮介といった面々が回答している。
  • 林芙美子の未発表原稿「鶏」も目玉のひとつ。廣畑研二が解説を寄せた。
  • 創作に柳美里、松浦寿輝、荻野アンナ、椎名誠。
  • 評論には矢橋透のエリック・ロメール論と、渡邉大輔の深田晃司論。
  • エセーに立岩真也、谷川電話。
  • 巻頭表現では、染野太朗の連作10首が井上浩輝の写真とともに掲載されている。

群像2017年7月号

  • 創作は中篇が2本。乗代雄介(180枚)と栗田有起(110枚)が掲載されている。
  • 町田康×都甲幸治による特別対談「善悪を超えた世界と、文学の存在する意味」も。
  • 『大江健三郎全小説』が2018年に刊行されることを記念したリレーエセー「私と大江健三郎」が今号よりスタート。第1回は高橋源一郎。
  • エセーに奥野修司、青木淳、颯木あやこ、近藤正高。
  • 連載陣では、瀬戸内寂聴の自伝的作品「いのち」と、佐々木敦の連載評論「新・私小説論」が今号で最終回を迎えた。

すばる2017年7月号

  • 特集は「詩のあるところ」。80~90年代生まれという新しい世代の詩人(広義)たちのインタビューと実作とが掲載されている。ラインナップは文月悠光、暁方ミセイ、岡本啓のほか、シンガーソングライター柴田聡子や落語家の笑福亭智丸も登場。
  • 破滅派でもおなじみの漫画家・今日マチ子は最果タヒとの往復コラボを披露。
  • 同特集ではすばるらしく海外の詩人も紹介。バオ・フィー(ベトナム)、ノラ・ゴムリンガー(ドイツ)、鄭小瓊(中国)、カエル・ファイユ(フランス/ルワンダ)の作品と解説が紹介される。
  • ほか、くぼたのぞみ、横山悠太、前野健太も詩に関するテキストを寄稿。
  • ほか創作に佐川光晴と小山内恵美子。
  • エセーは古川真人、西川啓、阿部裕介。
  • 池澤夏樹・辻原登・湯川豊・尾崎真理子という濃いメンツによる座談会「旅する人の旅の本」も掲載。

以上、2017年6月発売の4誌について概観をお伝えした。