今月は4誌が発売。

新潮 2017年12月号

  • トップ扱いの創作は坂口恭平「家の中で迷子」(200枚)。見慣れたいつもの部屋が森に変貌していて、家で迷子になってしまうという謎めいた物語。
  • ほか創作に佐藤友哉「神がかり」、大城立裕「御嶽の少年」。
  • 保坂和志は、作・山下澄人、演出・飴屋法水による話題の演劇『を待ちながら』を鑑賞してのテキストを寄せているが、新潮のTwitterでは創作として紹介されている。
  • 連載陣では、朝吹真理子「TIMELESS」が今号で完結。
  • 評論に森田真生、福田和也。
  • エセーに岩松了、紀田順一郎、近藤ようこ、内野儀、串田純一。
  • 今号は特集なし。

文學界 2017年12月号

  • 特集は「ネットに載らない観光地」。小川洋子、津村記久子、戌井昭人が寄稿。原武史と柴崎友香は一緒に「ぶらり西武線途中下車の旅」を敢行。
  • 創作に前田司郎「愛が挟み撃ち」。
  • 評論は酒井信によるカズオ・イシグロ論と松本卓也によるドゥルーズ論。
  • ノーベル文学賞受賞記念として、2006年8月号に掲載されたカズオ・イシグロへのインタビュー「村上春樹と故郷・日本」も再録された。
  • エセーは鴻池留衣、川上和人、畠山丑雄、今橋愛、清田隆之。
  • 連載陣では、トミヤマユキコのコラム「味な小説」が最終回を迎えている。

群像 2017年12月号

  • 読み切りの創作は町田康の短篇「とりあえずこのままいこう」の1作のみ。
  • 第61回群像新人評論賞が発表。当選作となった石橋正孝「なぜシャーロック・ホームズは「永遠」なのか」の全文が掲載。
  • ほか評論に、第60回群像新人評論賞 で優秀作となった宮澤隆義の最新作も。
  • 対談が2題。磯崎憲一郎×中島岳志は「「与格」がもたらした小説」、滝口悠生×堀江敏幸は「「語り手」の声に耳をすまして」と、いずれも創作論的な領域に踏み込んだテーマに。
  • リレーエセー「私と大江健三郎」の今号の担当は島田雅彦。
  • エセーにミカエル・ゴメズ・グタールト(訳=田中未来)、岡本和明、小佐野彈、中野美月、玉城ティナ。

すばる 2017年12月号

  • 創作に保坂和志、綿矢りさ、ふくだももこ。
  • 佐川光晴「日の出」は今号で完結。
  • 加藤典洋×マイケル・エメリックの対談では、これからの時代を拓くのは「敗者の想像力」であると語られる。
  • 小島信夫についての小特集も。堀江敏幸による講演と高澤秀次による評論が掲載。
  • エセーに若松英輔、倉持裕、加藤秀行、大吉紗央里。
  • ウラジミール・ナボコフが妻に送った手紙の翻訳も掲載。訳・解説は秋草俊一郎。
  • エヴゲニー・ヴォドラスキンが来日した際のシンポジウムの模様も届けられる。同席したのは亀山邦夫、島田雅彦、沼野充義。

以上、2017年11月発売の4誌について概観をお伝えした。