講談社文庫は、2017年11月2日より書店店頭で「乃木坂文庫」と題したフェアを実施している。これは講談社文庫が創刊46周年を迎えたことを記念しての企画で、「46」つながりということからアイドルグループ・乃木坂46とのコラボレーションが実現したものだ。同フェア中は、厳選された46作品が乃木坂メンバー登場の限定カバー仕様に変身している。

講談社文庫が創刊されたのは、同社創業60年にあたる1971年のことだった。岩波文庫などの老舗にくらべると歴史はだいぶ浅いが、日本の出版史的には大きな存在感をもつ文庫レーベルだといえる。それまで文庫市場は岩波・新潮・角川の3社でほとんど独占されており、ほかの出版社は参入に二の足を踏んでいるのが実情だったが、そこに風穴を空けたのが講談社文庫だったからだ。

後発とあって苦戦も予想されたものの、創刊半年で100作品を刊行するなど強気の攻勢が功を奏し、講談社文庫は見事文庫市場の一角を占めることに成功した。以後、ほかの出版社も続々と参入し、1970年代は文庫レーベル創刊ラッシュとなる。現在の書店に広大な文庫本コーナーがあるのも、講談社文庫が先鞭をつけたからこそだといえるだろう。

果敢に新しいことに挑戦してきた講談社文庫だけに、大々的にアイドルとコラボレーションするという試みもそれほど意外なものではない。乃木坂文庫では1冊につき1人のメンバーが起用されているので、ファンであれば是が非でも入手したいアイテムとなるだろう。また、ラインナップされている46冊も古典から現代の流行作家まで多岐にわたっており、ただ本を売るためだけではなく潜在的な読者を掘り起こそうという意識も感じられる。

各書店のTwitterを眺めてみると、すでに人気メンバーの本については売り切れも出はじめているようだ。乃木坂ファンはもちろんこと、ラインナップされている各作家のファンもぜひチェックしてみよう。