AI書店員「ミームさん」は、店頭に置かれたディスプレイのボタンを押すと搭載されたカメラから利用者の性別と年齢の他、「嬉しい」「普通」「悲しい」の表情を読み取り、同店で開催中のアガサ・クリスティーフェア51作品の中からお勧めの一冊を選んでくれるとのこと。11月6日よりブックファースト新宿店にてサービスを開始しており、本と読者の新しい出会いが期待されている。

 

AI書店員「ミームさん」は 株式会社トーハン「ほんをうえるプロジェクト」による、書店店頭にIoT、AIなどの最新技術を組み合わせた新施策「マクルーハンの本棚」の企画である。第一弾企画・電子ペーパーを利用した「次世代型POP」に続く、第二弾企画・AI書店員「ミームさん」は株式会社sMedioと共同開発したデジタルサイネージ型システムを採用し、早川書房が選書を担当する。

 

これはとても興味深い試みである。しかしながら、一体どの程度信憑性のあるデータなのだろうか。難癖をつけるようでは、時代に取り残された老害でしかないが、年齢・性別・表情だけで作品を勧められても首を傾げざるを得ないのが正直な所ではないか。現状ではAIの精度に対する期待よりも、どんな本をオススメされるのだろうかという興味の方が強いであろう。わざと顔の表情を変えたり、有名人の顔写真を用いて「ミームさん」を利用する人々の姿が目に浮かぶ。

 

とは言え、それも新しい形の出会いであることは間違いない。AI書店員「ミームさん」は、きっかけとしては申し分ないだろう。いよいよAIが人間の趣味・志向にまで関わり、今後はさらに多くの分野まで広がり、人間社会を脅かす危険性を孕んでいる……という意見もあろうが、とりあえずは新しい技術を楽しんでみるくらいのスタンスでミームさんに会いに行ってみては如何。