米作家のコーマック・マッカーシーが6月13日に、ニューメキシコ州サンタフェの自宅で亡くなった。89歳だった。米出版社アルフレッド・クノップフによると自然死という。

 1933年、ロードアイランド州生まれ。2007年、近未来の世界を旅する父子を描いた小説『ザ・ロード』でピュリツァー賞を受賞。同作は後に映画化、ヴィゴ・モーテンセンが主演した。そのほか、『すべての美しい馬』(1992)の映画化、脚本を手掛けたリドリー・スコット監督『悪の法則』(2013)など、名実ともに現代アメリカ文学を代表する存在となった。なかでも、『血と暴力の国』(2005)は、2008年にアカデミー賞を獲得した、コーエン兄弟による映画『ノーカントリー』の原作として話題を呼んだ。

 昨年、新作長篇二作 『The Passenger』『Stella Maris』を発表していたが、これが遺作となった。なお早川書房は、遺作となった 『The Passenger』『Stella Maris』を、黒原敏行の翻訳で近刊予定であると訃報と共に伝えた。

 暴力や不条理を乾いた筆致で描き出した。遺作となった長篇ではどのような物語が書かれたのか。筆者も『すべての美しい馬』や『ザ・ロード』などに大変感銘を受けた。心から冥福を祈りたい。