フアン・ルルフォ(Juan Nepomuceno Carlos Pérez-Rulfo Vizcaíno, 1917~1986)は、ラテンアメリカにおいて最も著名な作家の一人であり、また写真家としても著名であった。

彼は生涯において小説としては、メキシコ革命期の民衆を扱った短編集「燃える平原」と、現実と幽霊の街が溶け込んでいくマジックリアリズム小説「ペドロ・バラモ」の二冊の本を出したのみであり併せてもスペイン語で300ページ分しかないと言われている。しかしその伝説的な名声は衰えることなく、1983年にはアストゥリアス皇太子賞を受賞している。

昨年はフアン・ルルフォ生誕100周年の節目であり、生誕の地メキシコでは様々な催しが行われた。世界的に著名なフアン・ルルフォであったが、日本においては彼の作品に気軽に触れられる機会は残念ながら限られていた。しかしこの度、フアン・ルルフォの生誕101周年となる5月16日に杉山晃の翻訳により岩波文庫から「燃える平原」が文庫化され発売された。これにより公刊された全作品を日本語の岩波文庫で楽しむことが可能となる。この夏の読書にはフアン・ルルフォを選んでみてはどうだろうか。