札幌大学が、11日から札幌市内の紀伊国屋書店で開催する予定だったロシア文学に関する展示会を延期していたことがわかった。

このパネル展示「疫病とロシア文学」は、札幌大学ロシア文化センターを運営する岩本和久教授が企画し、札幌市内の紀伊国屋書店で11日から3日間開催される予定だった。当初はコロナ禍を意識した内容だったが、ロシアによるウクライナ侵攻が行われたこともあり、トルストイ『戦争と平和』や非戦論などにも触れることとしていた。しかし大学側は、東京でロシア料理店の看板が破壊されたことなどを取り上げ、嫌がらせなど不測の事態を避けるためとして展示の延期を決定した。延期後の日程などはまだ明らかになっていない。

岩本和久教授は3月9日のツイートで「ロシアと名の付くものをすべてタブーにして、教育や民主主義が成り立つのだろうか?ロシア語学習者や日本で暮らすロシア系住民の生活の安全が保てるのだろうか?」と、大学の判断に疑問を呈している。

2月24日にロシアがウクライナへ侵攻して以降、ロシア文化やその周辺の催しは中止・延期が相次いでいる。3月12日に渋谷で開催予定だった文化交流イベント「ロシアの日~Powered by 渋谷渦渦~」は2月24日付で中止となった。また、明石フィルハーモニー管弦楽団は3月21日の定期演奏会で演奏する予定だったチャイコフスキー「1812年」を演目から外した。都内のロシア料理店の看板が何者かに破壊される被害も起きているなど、ヘイトクライムと見られる動きも出つつある。国際情勢の影響が文化にも及ぶ状況が続く中、今回の出来事も議論を呼びそうだ。