筒井康隆や小川洋子、漫画家の萩尾望都ら計12人が22日に、芸術活動で優れた功績があったとして日本芸術院の新会員に選ばれことが発表された。3月1日付で盛山正仁文部科学相が発令する。

 日本芸術院は,1907年6月に文部省美術展覧会(文展)を開催するために設けられた美術審査委員会を母体とし,1919年9月に「帝国美術院」として創設された。その後,1937年6月に美術のほかに文芸、音楽、演劇、舞踊の分野を加え「帝国芸術院」に改組されるなどの拡充を経て、1947年12月に「日本芸術院」と現在の名称に変更された。

 新会員として選ばれたのは、ほか書家の土橋靖子、美術家の中谷芙二子、ビオラ奏者の今井信子、作曲家の野平一郎、舞踊家の尾上墨雪と宮城能鳳、ダンサーの勅使川原三郎と舞台俳優の樫山文枝、舞踊芸術監督の吉田都が選ばれた。

 筒井は、1934年大阪市生まれ。1960年に短編「お助け」でデビュー。星新一、小松左京と並び日本のSF文学パイオニアとして「SF御三家」とも称される。『時をかける少女』や『文学部唯野教授』、『パプリカ』などで知られる。2002年には紫綬褒章を受けている。

 小川は、1962年生まれの岡山県岡山市出身。1988年『揚羽蝶が壊れる時』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。1991年『妊娠カレンダー』で「第104回芥川賞」受賞。2004年に発表した『博士の愛した数式』が読売文学賞、本屋大賞を受賞しベストセラーになった。2020年には『密やかな結晶』が英ブッカー国際賞の最終候補にノミネートされるなど、海外でも評価を受けている。

 萩尾は、1949年福岡県大牟田市生まれ。1969年に「ルルとミミ」でデビュー。『ポーの一族』や『トーマの心臓』などで知られる。2006年『バルバラ異界』で「第27回日本SF大賞」を受賞。2012年には紫綬褒章を受章している。

 現在、日本芸術院会員には辻原登や松浦寿輝、吉増剛造などがいる。なお、2月6日に亡くなった小澤征爾も会員だった。