小川洋子原作『密やかな結晶』の米映画「The Memory Police」で、米女優リリー・グラッドストーンが主演することが決まったようだ。米The Hollywood Reporterが報じた。
 2020年に『マルコヴィッチの穴』などで知られるチャーリー・カウフマンが脚色、『リズム・セクション』のリード・モラーノが監督を務めるということで制作発表がされていたが、コロナ禍のためかその後の進展がなかった。
 グラッドストーンは、昨年公開されたマーティン・スコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』でアカデミー主演女優賞候補となっている。さらに、小川洋子とマーティン・スコセッシがエグゼクティブプロデューサーを務める。
 1994年に講談社から刊行された『密やかな結晶』は、ある島で人々の記憶とともにその実在するモノ自体が消失していくという幻想的な長篇。2019年に英語訳が出版され、2019年度「全米図書賞」翻訳部門、2020年度「英国ブッカー国際賞」最終候補作話題にとなり、話題になった。
 小川洋子作品では、「薬指の標本」が2005年にディアーヌ・ベルトラン監督の仏映画「L’Annulaire」として映画化されている。