書いてよいこと

かきすて(第31話)

吉田柚葉

小説

1,475文字

そろそろ長いものを書いたほうが良いかなあと思ってます

もより駅のスターバックスコーヒーでまどぎわの席につき、つめたいコーヒーをのみながら、そとのけしきをながめていた。

バスがきて、バスが往った。それが、くりかえされた。

さくやからつづくながい雨がようやくぬけた。

テーブルにはノートパソコンがおかれている。もう何時間もたつが、一文字もすすんでいない。

夫婦をテーマに、三十枚で小説を書いてくれとのことだった。

できなくはなかった。できなくはないと思ったとたん、それは書いたもおなじことであった。読者からしても、読まずして読んだもおなじだと思われた。だが、だからといって書かなければ、金にならなかった。

2021年9月11日公開

作品集『かきすて』第31話 (全40話)

かきすて

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© 2021 吉田柚葉

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